イタズラ
私は今、1年は組に来ている。
その理由はとある人物を求めてだ。
その人物とは……、
「兵太夫、いるか?」
「あ、さくら学園長。僕に用ですか?」
そう。この笹山兵太夫を求めて来たのだ。
この!カラクリ作りの得意な!笹山兵太夫さんを求めて!
「ここじゃアレだから私の部屋へ行こう。」
「あ、はい。」
ーーーーー
学園長の庵。
早くしなきゃ竜王丸がこの忍術学園に来てしまうからな。
「ーーーと言うわけで、竜ちゃんにお土産のビックリ箱を用意したい。」
「それで僕に作って欲しい、と?」
「いや、出来れば指導をお願いしたい。」
少し残念そうな顔だが了承を得た。
よし!とびっきりのを作ってあやつを驚かせてやる!
「まずここをこうして…、」
「こうか?」
「もう少し中央に来るように、」
「うむ。」
「あとはこれを付けて、」
「おお、いい感じだな。」
兵太夫先生の指導のもと、なんとかビックリ箱が出来た。
先生も心なしか満足気だ。
「兵太夫、ありがとう。助かったよ。」
「いえ、僕も楽しかったです。」
お土産に団子を渡して教室に帰って行く兵太夫先生。帰り際に「また誘ってください。」と言って来た。可愛い奴だ。
このあと授業あるけど団子渡して大丈夫だったろうか?まぁ、土井先生も一緒に食べれば何の問題もないか。
その後すぐにヘムヘムが竜王丸が来たと報告に来た。ふふふ、やっとで来たか。仕掛人は私、ターゲットは竜王丸、お前だ。
「よく来たな、竜ちゃん。これは土産だ。」
「わざわざすまんな。ならワシも。」
スっと私の前に同じような箱を置く竜ちゃん。
なん、だと…。
「…………。」
これがただの土産じゃない事は私もわかっている。
奴め、先を読んだな。
「さくら?どうした?」
「あ、あぁ…。いや。ありがとう。」
まぁ、その後は土産の事は触れずとりとめのない会話をした。
昔はこうだった、あーだったとか。
「さくら。」
「なに?」
「お主、いつになったら忍者になるんじゃ?」
「んん?」
え、いつになったら忍者になるかって聞いたこの人?
てか、何年経とうが忍者にはならないよ?
「ワシの嫁にもならんし。」
「お前嫁はんおるやろ。」
何ふざけた事いってんだ。
会う度会う度、プロポしやがって。
「いい加減、その冗談は聞き飽きたぞ。」
「むむむ……。まぁいい。今日のところは帰るとするかの。」
じゃあ、と言って私がやった土産を持って帰る竜ちゃん。
出会ってからずっと言っていたあのプロポは冗談か本気かはいまだにわからん。何を考えて言ってるんだか…、理解に苦しむ。
フと横を見れば竜ちゃんが持って来たお土産もどき。
「開けるべきか、そっとしておくべきか……。」
ジッと箱を見てればヘムヘムも気になったのか横に座り箱を見る。
これは開けろと言う事か。
「……………。」
慎重に、箱を開ける。
心なしか、だんだんと箱から離れてるのは気にしないでおこう。
カパ!と開ければ案の定、ビョヨヨ〜ン!とカラクリが飛び出してきた。お前もビックリ箱か!考える事は一緒だな!
「! ヘムヘム危ない!」
近付きすぎのヘムヘムをドン!と押せばヘムヘムはズサーと畳を転がっていった。
私も頬スレスレで避けた。
「っぶねー!ホッペスレスレだっためっちゃあっぶねー!」
竜ちゃんのビックリ箱にかかれば負けだと思ってる!
てかヘムヘム!まじゴメン!!
どこから出したのか墨で『さくら』と書いてガクッと力尽きたヘムヘム。
「ヘムヘムゥゥゥゥ!!おのれ竜王丸ぅぅ!!」
「どうしたんですか!?学園長!」
「ど、土井先生!ヘムヘムが竜王丸にやられた!今から弔合戦だぁぁ!!」
「とりあえず落ち着いてください!ヘムヘムも早く起きて!」
「はぁーい。」
「ヘムゥ。」
ーーーーーーーーーー
学園長とヘムヘムの茶番に付き合わされた土井先生。
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