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甘味同盟




今日は月に一度、おばちゃんから食堂を借りて甘味を作る日だ。
なのに………、




「尾浜、お前なんでここにおるん?」



そう。尾浜がニコニコと長椅子に座っていたのだ。
こいつ、何が目的だ…?




「えー。だって今日でしょ?お菓子作り。」
「そうだが………。」




え、何この子。
私の作る甘味目当てで来たの?




「まぁ、早く言えば試食しに来ましたー。」
「素直でよろしい。」




そう言えば尾浜も甘味好きだったな。
先月は確か学級委員会にもお裾分けしたし……。




「今回も学級委員会に持って行くか?」




毎回作りすぎてヘムヘムとお腹ぱんぱんになりながら消費してるしな。




「んー。今日はさくら先生と一緒に食べたいなぁ〜、なんて。」




いやいや、一緒に食べたいなぁ〜、ってあんた。毎回作りすぎ注意なのよ?食べすぎるとおばちゃんの美味しいご飯が入らないかもじゃん。
そう言えば「大丈夫!」と言われたので大量の団子を尾浜の目の前に出す。桜風味だ。参ったか!




「わぁ、美味しそう!いただきまーす。」



パクリ、と食べて顔を綻ばせる。
ホッペが落ちるとはこう言う事なのか。




「尾浜、学級委員会の様子はどうだ?」
「んー。相変わらず、やる事なくていつもお茶してますよ。」
「そうか。近いうちにイベント起こすか。」




とは言ってもなんかいいイベントないかなぁ?
運動会や文化祭は秋だし、お花見兼遠足は前やったしなぁ。
なら水泳大会か…?あ、そう言えば2年の池田三郎次が泳ぎが上手いって言ってたな。なら池田にコーチを任せるか?うん!そうしよう!




「そう言えばやっとで三郎を名前呼びしたんですね。喜んでましたよ。」
「ん?まぁ、喜ぶもんでもないがな。」
「三郎の場合、そうでもないですよ?あまりの喜びっぷりに雷蔵も少し引いてましたし。」
「不破も大変だな…。」



三郎の暴走を止められるのは不破だけだしな…。なんか逆に悪い事したかもな。




「俺の事も『勘ちゃん』って呼んでください。」
「勘ちゃん?」
「はい!あんまり呼んでくれる人がいないので…。」



まぁ、本人がそう言うなら呼ばせてもらおうか。
しかし、勘ちゃんなぁ…。




「勘ちゃんは勘ちゃんじゃなくって甘ちゃんだな。」
「ふえ?」




今ももぐもぐ甘味を口に含む勘ちゃん。
甘ちゃんの方が本当あってるな。




「言葉にすればいまいちピンときませんね。」
「そうだな。ユーモア溢れるものしかわからん言葉かもな。」
「じゃあ俺ユーモア溢れてるのか。さくら先生と一緒ですね。」
「そう見えるか?」
「はい。身体中からユーモアがたくさん溢れてます!」




ちょ、オーラじゃなくてユーモア?
フェロモンじゃなくてユーモア?
色気じゃなくってユーモアァァ!?




「さくら先生、来月もまた一緒に甘味食べましょうね。」
「え、あ、はい。」






「てか来月もまた来んの?」
「俺達、甘味同盟でしょ。」
「何それいつ作った。」
「ついさっきです。」




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勘ちゃんタメ口っぽいけど真面目な時はちゃんと敬語使います。



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