「信じてくれて、ありがとう。」
風がピュウ〜と身体を突き抜ける感じがした。
夜宵ちゃんの言った言葉が理解出来ないでいる。
あんた達2人、矢上姫華に嵌められた…?そんなそぶり、見せてないのに何で?
「な、んで…?」
「調べはついている。でも、京子達の口から聞きたい。本当なのか、どうか。」
私達の口から?本当かどうか?
今まで誰一人、私達が何を言っても聞いてくれなかった事を?この人達は聞いてくれるの?
そう思うとポロポロと涙が出てきた。
「初めは、私達の友達が矢上さんに嵌められてたの…。」
巽ちゃん。私と花の唯一の友達。
クラスのみんなは巽ちゃんが矢上さんをイジメてるって言ってたけど私も花もそんな噂、信じた事はなかった。
「でも…、巽ちゃんが自殺して数日したら今度は私と花を…!いきなり屋上に呼び出して巽ちゃんみたいにしてあげる、って言われて…!」
それで確信した。
やっぱり巽ちゃんは無実なんだって。
でも、
「そう思うと巽ちゃん、無実を晴らせないまま死んでいったんだって…。」
「それに関しては大丈夫ですよ。巽は、ちゃんと生きています。」
「え…?」
高峰広大君の言葉が頭の中を支配する。
生きている?巽ちゃんが…?
「あ、あんた達、なんで巽の事を…?」
一番の疑問を花が聞いていた。
この人達は、巽ちゃんの関係者なの?
「巽は俺達の家族同然のようなもんだ。」
「共に生きて来たしな。」
「食べ物も分け合ったりもした仲だよ。」
「あ、でもでも夜宵とは血の繋がった兄弟だよ〜。」
それを聞いてビックリした。
夜宵ちゃんと巽ちゃんが兄弟だったなんて…。
なら余計、私はこの人にあわせる顔がない…。
「京子、黒川さん。」
そう思って俯いてたら夜宵ちゃんがいきなり手を握って来た。
「巽を信じてくれて、ありがとう。」
もう、随分と聞いてない言葉。
罵声でもなく、嫌味でもない。ただ純粋な言葉に涙が余計に溢れて来た。
「もしよかったら、私達の友達になって?」
「い、いの?」
「うん。黒川さんも。」
私と花に巽ちゃん以来の、友達が出来た。
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意識不明の彼は女装して登校していたもよう。
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