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小説



「………っっはぁ、間に合え、」




走りながら、呪文の様に呟いて、俺は廊下を全力疾走する。
やっと辿り着いた屋上の、階段の手摺りに手を付いて乱れまくった息を整える暇すら与えず階段を一気に駆け上がっていく。



『開閉厳禁』と書かれたその重たい扉を力いっぱいに押して屋上に足を踏み入れれれば風で舞う自分の髪がうざったくて思い切り首を降った。





「……いない…?」




屋上の隅から隅まで目線を移動させてもそこに人の姿は見当たらなかった。


手遅れだったか、と自分の唇を噛み締めて目を瞑る





握った手の平が痛い












「……あれ?」







ふいに聞こえた自分以外の声に弾かれた様に顔をあげると、丁度俺と向かいあったフェンス越しに人の姿が見えた








その姿に、思わず息を飲んだ


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