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小説

俺を抱き締めながら、耳元で囁かれた声に俺の動揺をたっぷり含んだ叫びにも似た声が教室に響く



なんで、この人が、ここに…!?



混乱する思考を整理する間もなく、姫、こと河野先輩は俺から手を離すと今度は俺の手を掴んで無理矢理立ち上がらせた



「んじゃ、こいつ借りてくから。」



先生に宜しく〜、なんて暢気な事を言いながら、その華奢な身体の何処にそんな力があるんだってくらい強引に俺の手を引っ張っていく。



「ちょ…、ちょっと!あのひ…こ、河野先輩!」


「なぁにー?」


「え、いや…あの、どこ、行くのかな〜?なんて…」



はっきり離してくださいと言えない俺が情けない。

そうこうしてる間に俺は半ば引きずられる様にして廊下を突っ切っていく。
周りから突き刺さる視線がかなり痛い。


そりゃそーだ、話し掛ける事すら滅多に出来ない様な有名人に腕を引かれているのが俺みたいな凡人なのだから。




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