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小説


顔は甘い笑顔なのに、その口からはその笑顔と裏腹に低く威圧感を感じさせる。
その理由に気付いてしまった俺がどう誤魔化そうかと思案している内に伸びてきた手は俺の頬をゆるりと撫でた




「い、いや…親父これは…」

「どうして制服が湿ってるの?可笑しいなぁ。今日は降水確率0%の快晴なのに。こおちゃんの上だけ雨だったのかなぁ、そんな訳ないよねぇ?どうしたの?学校で何かあった?…もしかして苛められてるとか。
………やだなぁ。許せないよそんな事する奴ら。……僕お説教したくなっちゃうじゃないか。」

「そっ、いやだから違うんだって!そんなんじゃなくて…」

「じゃあ…なんで?」




まずい…!目が笑ってない!


昔から俺の事に関して、小さな埃一つすら見逃さない程敏感な親父は、濡れて帰ってきた俺を不自然に思ったのか考えを最悪な方向にしていく。

ならばはっきりと今日の出来事を伝えれば良い、

『先輩を庇って屋上から一緒にプールダイブした』なんて。

それを伝えた後、鬼の様な形相で学校へ駆け込む親父の反応が頭を過ってまた震えた。

「き、今日さ、あんまりプールが綺麗だったもんだからプールに忍び込んで遊んでたら足滑らせて落ちちゃったんだよ。」


だから、俺が悪いんだ。

そう最後に付け加えて笑みを作ればふぅんと、気のない返事が帰ってくる。


「ならいいんだけど。ほら、早く着替えておいで、風邪引いちゃうよ。」


そう言ってまた柔らかく笑んだ親父に安堵して俺はそそくさと自分の部屋に向かった






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あきゅろす。
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