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小説
怒り


一体…どうなってんの?




「……俺達は、アイツらが死ぬ程嫌いだ。」



「…は、?」




相手の様子を伺うように見つめていれば急に口を開くもんだから素っ頓狂な声が出てしまった。

何を言い出したのかはわからないが、とりあえず俺がこんな事になった理由ならば聞く他にないだろう。



ただ何も言わずに恐る恐る目の前の苛立ちに歪んだ青い瞳を見返す





「何が『特別』だ何が『優秀』だ何が『高嶺の花』だ。苛々する」


「……!?」


「あいつらも俺達と同じ人間だろォが、なぁ?そう思うだろ?」



「…ひ、ぃ…っ」




ぐい、と掴まれた襟元を力いっぱい持ち上げられて小さな悲鳴が零れた。
先程までの愉快さはなく今はただぶつけられる怒りが痛い。



「ただ頭が良いから?家が金持ちだから?おまけに顔もいい、それだけで俺達とアイツら特別棟の生徒は比べられなきゃいけないのか?……そんなの、」



言い切ってから一泊、呼吸を置いて浮かべられた笑みは綺麗な程…




凶悪だった。




「だから俺達は“仕掛け”たんだよ」

「し、かけ…?」




掴まれた襟元は放して貰えたけれど倒れこんだ体の両脇に足を置かれて身動きは取れない、

正に、獲物。


捕らえられたら逃げられない。





「そう、ゲームだよ。」





ふいに教室の隅、影になった所からまた別の声が聞こえてくる。


それは聞き覚えのある、声。


意識がなくなる前に聞こえた能天気な、声だった。



影から姿を現したのは長身のひょろりとした男だ。

細長い目は狐みたいで肩くらいまでの長めの黒髪を右側で纏めて流している。


同じ制服からして、この学園の生徒なのだろうけど…見た事が…な、い…



そこで、違和感を感じた。



そうだ。



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