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小説

口には出せなくてただただ目の前の男を睨み付けた。





「…はっ、案外度胸あるんだな。…まァいい。そうじゃなきゃゲームは面白くないからな。」



「…ゲーム?」



俺の睨みなんか大した事なさそうに笑って、愉しげに呟いた男の単語に、思わず反応してしまった。
すかさずそれに気付いた男が赤い舌を出して舌なめずりをする、


…そう、まるで獲物を前にした獣のように。




「…そう。招待状を送ったろ?……我らがアリス。ってな。」




「……!」











“招待状”


“アリス”




思い当たる節が有り過ぎる単語に俺は盛大に顔を顰めた…、いや、顰めざるを得なかっんだ。


あぁもうどうして!


俺は毎回毎回毎回、こんな面倒事にばかり巻き込まれてんだよ、


平穏無事な生活は何処行ったーー!





「いい表情すんじゃねぇか。」



俺の心境なんかお構い無し。
それどころか…



にやり、

獰猛さを秘めた獣のように、その人は嗤う。

端正な顔立ちでもやっぱりさっきの“兎”と呼ばれて人同様に何処か浮世離れした目の前の男は俺を面白そうに見て更に笑みを深くする。




「…っ、」



その様に思わず体が竦んでしまうのは最早仕方のない事なんじゃないだろうか…。

物凄い威圧感をびしびしと感じて俺は何も言い返す言葉が出てこなかった。








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