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小説


「ねぇー!見た!?」

「見た見た!科学室の王子様でしょ!?」

「そうそう!ヤバくない!?」

「もーちょーっヤバい!」






「「格好よすぎ!!!」」







あるぇー…

此処って共学だっけー?
さっきからきゃいきゃいと女子高生がいる気がするー。
や、もう本当。

小柄で可愛いってだけで同じ性別の男があんなに女の子みたいになるもんなのか、不思議でならない。

世の中まだわからない事だらけです。




「なぁに黄昏てんだよ、こーちゃん。」

「……そういう高下は随分楽しそうだな。」




窓に寄り掛かって体育の準備中の生徒を眺めながら小さく溜め息をついてれば肩を叩かれると同時に陽気な声が聞こえて更に溜め息が漏れた。


こーいう時の高下ほど面倒くさいもんはない。




なんせ、






「聞いたか?見たか!?…特別科の科学室の王子様こっ六藤樹先輩だよ!…いやー、すげぇスクープ!」




うっざいんだよ、これが。

鼻息も荒く詰め寄ってくる高下に気圧されて少し後退りしながらもとりあえず頷いておく。

すると、高下は更にヒートアップするのだ。




「最近中々顔を見ないなーと思いきや!久々に顔を出した王子様は前に増して格好良くなって帰って来たらしいぜ!?…何でも、今まで伸ばしっ放しだった髪をさっぱり切ったとかで、その美しい顔が更に際立ってんだよ!髪型もばっちり決まってて今特別科じゃあ、その美容院何処だ!?って大騒ぎらしい。…すげぇよなー。」




俺はお前の方がすげぇと思う。
一切噛む事なく一息で告げた高下に俺は敬意を払いたい。

つーか、やっぱうぜぇ。

何かスクープを発見すると途端にテンション上がるんだよなー、コイツ。




「お前も気になんねー?その美容院!」


「ならん。」





だって俺だし、




…とは、勿論言わない、言えないけど。



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あきゅろす。
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