犬?
ガチャリと鉄柵の扉を開け、談話室に入ってきたのは…緑髪で鼻筋から額まで被われた包帯が特徴的な何だか不思議な奴だった。
「ッチ…やっぱし気づいてたのかよ」
「はぁ?何言っとんねん駄犬。ウチが気付かんとでも思ったんかいな?」
「うっせぇよ!誰が犬だっ!!」
俺の隣にしゃがんでいるロビンと楽しそう(?)に喋っているところを見ると、どうやら知り合いらしい。
俺達の目の前まで来たそいつは、俺へと顔を向け口をニンマリと緩めた。
あ、コイツ八重歯だ。
「さっきの聞いてたぜ?よくあの嫌がらせに耐えたな。」
「ほんまよぉ耐えれたわ。ウチやったらぶっ殺してるとこやでぇ。」
「てめぇは短気過ぎんだよ!」
「はっ。ヘタレは黙っとき?」
……なんだろう。
二人の関係性を垣間見た気がする。
ぽぉーっと睨み合う二人を見ていると、先に折れたらしい緑髪が俺の方を向いた。
「…あのよ」
『ん?』
「何でお前…避けなかったんだよ。」
避けなかった?何から?…と、首を曲げる俺に緑髪は「男達から殴られかけた時」と溜め息混じりに補足した。
…んなもん一々覚えてねぇ。
なんて答えようとしたけど、二人が真剣に聞いているもんだから俺は渋々口を開いた。
『あー、技のキレかな?』
「「…は?」」
なんだいじめか?なんでそんな時にハモんだよお前ら。実は仲良しだろお前らそうだろそうに違いねぇ。
『アイツ等技のキレが鈍かったからな』
「はっはーん。つまり、素人にはなるべく手ぇ出したくないっちゅー話かいな?」
『まぁ…そんなとこ。』
「だからって殴られんのかよ?」
『殴られればそこで場が収まんだろ?』
苦笑いで答えれば唸り声で返された。
さながら犬の様だ。
耳だって尖ってるし、八重歯だし…それになんか雰囲気が犬っぽいんだ。
まぁ緑髪の犬なんていないだろーけど。
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