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「大丈夫かいな?」

『…あーうん、ありがとな』



ロビンと共にやってきたのは談話室。
広く殺風景な場所だが、時間によっては沢山の囚人達で賑わうという。

コンクリートの椅子(っぽい場所)がある以外何もない本当に殺風景な場所だ。





しばらく沈黙だったが、どうやら俺が落ち着くのを待ってくれていたらしく俺が肩の力を抜くとロビンは話始めた。



「…アイツの事気にせんときや?」

『アイツ…?』

「カマ野郎の事や。」

『カ……』



多分、つか確実にカマ野郎とはクローディアちゃんの事だろう。
確かに見る方向を変えればそう呼べるかもしれないが、あまりの言われように思わず吹き出しそうになった。



「…アイツな、ジャック事好きやねん」

『…あー、だろうな。』

「それにアイツよぉ新入りいじめすんねん。」

『…あー、うんだろうな。』



ジャックの事をラブ的な意味で好んでいるのは明らかにわかった。
…あれだ恋する乙女の目だった。
乙女じゃないけど。

そしてクローディアちゃんは場数を踏んでいるからか、小細工が上手かった。
周りからは完璧に俺が加害者に見えているだろう。


もしかしたら……



『………。』



チラリと隣にいるロビンを見ると、いつの間にか見つめられていたようでパチリと目があった。

…もしかしたら、ロビンもまた疑っているかもしれない。
頭の片隅でそう考えていた俺にとって、ロビンが俺を助けた事は予想外だった。



『お前は――』

「やってへんねやろ?」



俺の心を見透かしたように言葉を遮り話したロビンの瞳は優しげに細められた。
素直に頷いた俺の頭をガシガシとロビンは撫でた。

……あー、寝そう。



「大丈夫ウチは分かってるで。あんな小細工ウチには通用せぇへん。」



ニヤリと自信満々に笑ったロビンは眼鏡のズレを片手で直した。
どうやらロビンはクローディアの仕業だとわかっていた様だ。




『……ありがと。』




予想外にも先ほどの事で結構参ってしまっていたらしい俺の心は、ロビンの言葉をストン…と吸収した。
安心、つー言葉が合うかもしれないこの感情にむず痒くなって、思わず顔を俯かせた俺にロビンは続けた。



「いーえいーえ。当然の事したまでや。……それに気付いとったんはウチだけやないけどなぁ」

『?』



意味深な発言をし談話室の扉に視線を投げかけたロビンに習い、俺は扉へと視線を移した。


すると…タイミングを見計らった様に談話室の扉がゆっくりと開いた。







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