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それは見事な回し蹴りだった。
長くしなやかな足が男達の腹部を捉えたのだ。
うぬ、痛そうだ。
俺なら……あー、折れてっかな。
『……ロビンおま、』
「…行くで。」
『おまえすげぇな』と続ける前に目の前の男…ロビンは俺の方に顔を向けるとニヤリと笑いそう言った。
眼鏡のレンズの奥にある瞳が楽しげに細められている所を見ると、どうやら今までの一部始終を見ていたらしい。
助けるなら早く助けてほしいな。
ロビンに腕を引かれ、早走りに近い速度で食堂を横断していた俺だがロビンが突然立ち止まったためその背中に激突した。
痛いぞ鼻打ったぞ。お前俺のイケメンな顔になんつー事してくれとんじゃい。
…………アレ口調変わってねーか俺。
いてててて…と鼻を擦って、ロビンを見上げると、俺の背後へと視線を向け呆れ顔を見せていた。
それにつられた俺は振り返ろうとしたが、ロビンにぐぃっと腕を引っ張られた為そのまま食堂を出た。
その時、ねじ伏せられた男達を当然の様に踏んづけて通ったロビンを見て呆気に取られたのは言うまでもない。
そしてその時にニヤニヤしながら男達の頭を踏みつけるロビンを見て『コイツヤバい方じゃないのか』と疑った俺は正しいと思う。
そんな事を考えていた俺は食堂から出て行く俺達を見てジャックが悔しそうな顔をしていた事に気付かなかった。
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