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「そんなにナイトレイを取られた事が嫌だったのか?」



にやにやと気味の悪い笑みを浮かべた男が俺にそんな事を言ってきた。



『………は?』

「テメェ、クローディアちゃんがナイトレイと仲が良いからって突き飛ばす事ねーだろ!」



いやいやいやいや、何だその話は。
それじゃあまるで…



「ナイトレイが好きだからってそれはねーんじゃねーの?」

『ぶっ!』



あまりにも馬鹿な話を聞かされ思わず吹き出した俺を見て周りの者達の眉間の皺が深まった。

おーっとまずった。



「テメェふざけてんのか?」

『いや別に、ふざけてねーよ?』

「てめぇ笑ってんじゃねーよ!」

「反省してんのかあ゛ぁ゛!?」




次々と吐かれる俺への罵声に少々ウンザリしながらも軽く受け流していた時だった



「……なぁ、おい跪けよ」




そうどこからか声がして、周りからの土下座コールが始まった。

【うるさいな】とか
【お前らノリ良いな】とか

そんな事を頭の端で考える俺だが、そんな事よりも気になる事があり周りをグルリと見渡した。



『(……今、確かに…)』



眉間に皺を寄せ神経を集中させるが何しろ大人数の者達が土下座コールをしているため集中しようにも出来ない。



『(クソッ……うっぜぇ。)』



苛立ちにこめかみがピクリと動くのを感じながら、周りに鋭い視線を向けた。
…勿論少々殺気を込めて。



「―――っ!」



案の定ビクリと肩を震わす男達だが、大人数という事もあってかその表情もすぐににやにやした笑みに移し変わる。



『(…これだから多人数はやだやだ)』



ハァ…と、重い溜め息をつくと今度は勢い付いた小柄な男達も嘲笑うかのような笑みを見せた。




「ハッ、どーせなにも出来やしないんだろ?偽善者ぶりやがって」

「情けなーい。綺麗なのは顔だけー?」

「美人は腹黒いって言うしね。」




クスクスという笑い声と、わざと聞こえる音量で吐かれる陰口。

あー、もはや陰口とは言わないか。
だって思いっきり聞こえてるしな…



ここで言い返しても無駄だと思い黙って聞いていた俺。

そんな俺に心配そうな視線を送っていた者が数名いた事に気付いてはいたが、あえてそちらには向かなかった。

もしヘタに俺を庇ったりなんかしたら矛先がそっちに向いちまう可能性だってある。



『(頼むから何もするなよ…。)』






黙々と文句を聞いている俺に苛立ち始めた者が出てきた頃、先ほど土下座コールのきっかけとなった声が再び聞こえた。


その者の気配がした時点で周りを見渡し、何を話すのか。どんな声色なのか。それが"だれだった"かを調べるために耳を澄ませた俺だが、次に吐かれた言葉を聞いた瞬間少なからず『聞かなければ良かった』と後悔した。







「そんなんだから仲間に裏切られたんじゃない?」







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