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一瞬間食堂が静まり返った。
勿論皆の視線の先には俺とクローディアちゃん。
ジャックはその瞬間を見ていなかった様で驚いた様子で俺達を見ていた。
普通にクローディアちゃんが尻餅をついただけなら良かったんだけどな?
…だけどな?
クローディアが倒れる前に俺の手を軽く引いて下さったおかげで俺の手は軽く前に突き出すようになっている。
…つまりだ。
「おいテメェ…リデル突き飛ばすとか何してんだよっ!」
周りからは俺がクローディアを突き飛ばした様に見えるっつー訳だ。
普通なら焦る所だろうが、今の俺はそれどころではなかった。
…やはりこの状況は!
『(お前の席ねーから!とかいうやつかっ!)』
某イジメはいけません漫画の名台詞(?)が頭の中で流れた。
おぉ、生お前の席ねーからが聞けるんじゃね?!
…いや待て俺。
ここには個人の特定した席がないから「お前の席ねーから」とか言われても『あーいや…もとから無いんですけど』っていう寒い返しをしなくちゃならなくなっちまう。
個人の特定したもの………あ。ベッドとか?
「お前のベッドねーから」
……!おぉ、ナチュラルにスゲー迷惑だ。寝る場所ねーとか…やっべ想像しただけで虚しいな。
いや、待てよ。
お前のベッドねーから=窓からベッド投げなきゃなんないじゃん。
いやー、さすがにベッドは無理だな重いし。
………って、いやいやいやいや。
『………え、あ、違う違う。』
「……シリウス君酷っ…、急に突き飛ばさないで…っ、僕何かした…?(なんだったんだ今の間…。)」
グスンと鼻を鳴らすクローディアを見て、周りの囚人達が俺を睨み付ける。
一瞬周りから「今の間なんだったんだ?」とかいう苦情の声が聞こえた気がしたけど諸事情により聞こえなかったフリをするぞ。
しまったな回想長すぎた。
げふん…なるほど、クローディアはここの姫さん的存在なのか。
まぁ可愛いもんな。
いやいやいやいやなんでそんなに冷静なんだ俺。
『えー…。そりゃねーってクローディアちゃn』
「僕がちょっとジャックとくっ付いてたからって押さなくてもいいでしょ…っ」
『………は?』
そう言って泣き出すクローディアを俺は呆然と見るしかなかった。
えーっとヤバい?
ヤバすぎる?ふざけ過ぎた?俺ふざけ過ぎた感じか?
アレか天罰か。
……チクショウ俺の敵は神なのかコノヤロウ。
とりあえずこの状況はいくらなんでもヤバすぎるぞ俺。
どういうつもりで俺をはめたいのか知らないが、どうやら俺は姫さんに軽く恨まれちゃったらしい。
…んで、俺が悪者に成り下がっちゃったらしい。
今の状況で俺がどう弁解してもこの雰囲気じゃ到底無理っぽいな。
周りを見渡すと、目が合う目が合うスッゴく目が合う。
どいつもこいつも、睨んじゃってますよ俺の事を。
みんなして何プレイだよ。俺に何を望んでるんだ…!
……はいスミマセンそろそろ黙ります。
「おいブラッドさんよぉ?俺らのクローディアちゃんをイジメて楽しいか?あ゛ぁ゛?」
『いやだから俺やってねーって』
「どっからどう見てもテメェが突き飛ばしたんじゃねぇかっ!」
大きな体格の奴らがじりじりと俺に迫ってくる。
当のクローディアちゃんは他の囚人に囲まれている。
んでもってジャックもそこに居て、クローディアの隣に立っていた。
あーそーですか俺が悪いんですか。でもアンタら当の姫さんは俺を見て勝ち誇った様にニヤニヤしてますよー。でも何で皆さんそーいう時に限って見てないんだ。アレかまた王道か。
チクショウ王道め。
やっぱりさっきの訂正俺の敵は王道だ。
神様はちょっとキツいぞ。どこにいるか知らんし。
…あ。あくまでちょっとだけどな。別に神様は流石に勝てねぇよ的な理由じゃねーからな。
俺強い子だから。
はい皆さん白い目で見るのはやめましょう。
これでも一応主人公だから。
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