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嫉妬と偽り







背後から聞こえてきた、男にしては高い声に、驚き振り返った俺は口をあんぐりと開けてしまった。



『……女の子?』



パタパタと可愛らしい足音をさせ近付いてきた美少女(?)は、勢いよくジャックに抱き付いた。

当の本人は物凄く面倒臭そうな顔をしているが、俺はそんな珍しい表情をするジャックよりもその美少女に釘付けだった。


長く綺麗な髪を二つくくりにし、大きい瞳をパチパチさせ、華奢な体をジャックに引っ付かせているそのどこからどう見ても可愛いらしい女の子の胸は何故……ペタンコなのだろうか。


――いや、そんな失礼な事考えちゃ駄目だぞシリウス。レディーに失礼だよなうん。
きっと彼女も色々苦労してんだよきっと。



俺の視線(憐れみの)に気付いたのか、謎の美少女は大きい瞳を俺の方へと向けた。

大きな瞳をもっと大きく見開いた彼女は一瞬品定めするかのごとく俺を上から下まで見た。



『……えっと、』

「シリウス=ブラッド?」



首を傾げてジャックに問いかける彼女にジャックは素っ気ない肯定を返した。

そんなジャックの反応に彼女は口を尖らせる。



『えっとジャック彼女は…』

「シリウス。そんな冗談いらないから」

『は?』


怪訝な顔をして言うジャックの言葉が理解出来ず、首を傾げる俺に可愛らしい笑い声があたりに響く。


「僕は女の子じゃないよぉ。ここ男しか居ないでしょ?」



そう言って笑った彼女…否彼はジャックから離れ、俺の目の前にたった。
うぬ、コレは犯罪級に可愛い。男に見えないなぞ。
男にしておくのが勿体無いな女の子なら即狙ったのに。


そんな事を思っていた俺に、彼は微笑みを浮かべ俺の前に手を差し伸べた。



「僕は【クローディア=リデル】。名前まで女の子みたいでしょ?」



そう言って笑みを見せるクローディアに、俺も自己紹介をしその手を掴み握手した。


……が。


クイッと引き寄せられたと思った時には既に遅く、俺は彼の胸に飛び込んでしまった。


『ぉわ、ごめ…』


慌てた俺は彼の肩を押し距離をとろうとしたが、当の本人はニッコリと綺麗な笑みを見せ俺の耳元に口を寄せ呟いた。






「あんま調子に乗んなよ?」

『………へ?』

「きゃあっ?!」




一瞬何を言われたか理解出来なかった俺を嘲笑うかの様に口に弧を描いたクローディアは、俺の手で自分を押すようにし次の瞬間自ら尻餅をついて叫び声を上げた。




こ、この状況は………








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