プロローグ
親父が病気で亡くなって跡継ぎ問題が勃発した。
親父はイタリア全体を束ねるマフィアのボス…その跡継ぎを決める前に親父は逝ってしまいその様な問題が発生したのだ。
候補者はほんの数人。
その中でも有力な候補者は…次男である俺だった。
兄貴は確かに実力だってあったし頭は平均的だがずる賢い。
元々皆に甘やかされて育った兄貴は典型的な我が儘に育ち、姑息な手を使ったり金に目が眩む人ですぐ人を売ったり裏切ったり信用が薄かった。
それに比べ俺は驚く程厳しく育てられ、お陰様で性格が若干歪んでしまったが今考えればその厳しさも愛情表現の一つだったのかもしれないと思う。
まぁ兄貴があんなんだからなぁ…とも。
話が捻れつつも候補者は2人に絞られた。
兄貴と俺の2人に。
普通なら長男である兄貴が継ぐのが妥当だがなんせ裏社会のドンとも言える程大きなファミリー。
そのボスになるのなら、筋の通った実力者でなくてはならない。
そしてなんと言っても…チャイニーズマフィア・香港マフィア・ジャパニーズマフィア…そして警察庁やらなんやらぶっといパイプで繋がっている先代から築き上げてきたこのファミリーの信用をぶち壊さない人物が必要なのだ。
マフィアといえど関係はピラミッド型…下克上は掟違反だがなんと言っても裏社会、何があってもおかしくはない。
所詮信頼無しではすぐに潰されるのがオチだ。
幼い頃から友人関係には特にうるさかった親父に耳にたこが出来るのではないかと思う程言い続けられた言葉がある。
【仲間に裏切られても裏切るな。傷付けられても傷付けるな】
それは親父の口癖の様な言葉。
俺自身仲間を裏切ったりしようなんて一ミクロンも思った事はなかったし思いたくもない。
それを幸いしてか仲間は俺を信用してくれ…又、俺も彼らを信用していた。
実力だってあったし…結構自信だってあった。
親父の側近や舎弟達からも賛成の声も上がり俺が次期ボスだと言ってくれる者が大半。
兄貴に賛成だと言う者も多数いたが…兄貴は確かに先ほど言ったように実力があるし、ずる賢いが…利用され潰されるのがオチだと思うのは俺だけではないだろう。
そしてそんな時あるものが見つかったのだ
親父の遺言書が。
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