腹黒い同室者
「本当に可愛いねシリウス」
『………俺は男だぞ』
「うん、知ってるよ?」
ジャックと距離をとるように、自分のベッドに腰掛けた俺は目の前にいる王子に殺気を含んだ視線を向けるが、当の本人は綺麗な笑みでそれを受け流した。
俺が男だと分かっててキスやらセクハラするとか大丈夫なのかこの男は。
そう若干失礼な事を考えていると、ふと俺の中で該当するものがあった。
『…お前………ホモなのか。』
「………は?」
俺の発言が予想外なものだったようで、王子ならぬ間抜けな声を出した彼は呆然と俺の顔を見ていたが、次の瞬間にはニヤリと口元に弧を描いた。
「否定はしないよ。」
『…………。』
しないのかよ。
そうかホモだったのかコイツ。
つか高らかに発表する事じゃないぞ。
しょうがない。ジャックには【顔が顔だけに残念な人2号】と名付けよう。
因みに1号はレノな。
陽気に馬鹿な事を考えていた俺は【ならばそのホモな男が何故自分にキスしたのか】なんてこれっぽっちも疑問に思わなかった。
ある意味シリウスも色々と残念な男である。
シリウスが変なあだ名をジャックに付けていると彼はすくりと立ち上がった。
『どっか行くのか?』
「………服」
『…ふく?』
「その服嫌なんでしょ?」
なんの事だかわからなかった俺だが、ジャックの指差した先にアノダサいつなぎがあったので、なるほろーと頷いた。
俺の反応に気を良くしたらしいジャックは王子様々な笑みを見せた。
…が次の瞬間。
ゴキ、ボキッ、どすっと牢の鉄ドアを蹴破った。
お母さんビックリよジャックあなた足癖悪いわね。
…………何キャラだ俺。
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