日常?シリーズ
さあ、運命の歯車は回り始めた
幸村達 2年、満月1年の春のこと前編。
一人の少女が校門の前である決意をした。
「今年こそ平和に過ごすんだ」
彼女こそが後に立海テニス部の唯一のマネージャーとなる日下部満月である。
彼女は類い稀な強運かはたまた悪運を身に付けた星のもとに生まれ、何かと厄介事に巻き込まれるのだ。
そもそも誰かさんの従兄妹として生まれてきたことが、最大の不運である。
愚かなことに、その誰かさんに見つからなければ平穏無事な日常が送れるはずだとは信じているし、なんとかやり過ごせると思ってる。
その決意はほんの数分後にあっさり打ち砕かれることになるのだが、彼女はまだ知る由もない。
なんて言ったって同じ学校に居るのだ。
あの方が放っておく訳がない。見つからない訳がない。こんな人材が居て、何も仕掛けてこない訳が無かった。
***
立海大附属中学はテニス部をはじめ数々の部活が輝かしい成績を残してる由緒ある学校。
中でも、イケメンぞろいで有名なテニス部の時期部長だと名高い幸村精市に見つかったら終わりだ…!
『神の子』!?どこをどう見ても『大魔王』にしか見えない。
きっと皆、目が悪いんだな、そうに違いない!!
だから、本性が見抜けな…
「遅かったね?満月。入学早々遅刻する気?」
「…(びくッ)」
終わった。何かが音を立てて崩れていく気がする。
今、何か真後ろで聞こえたような。いや、気のせいだ。幻聴だ!
そのまま無視して校舎へ向かおうとしたが、生憎それは一番出会いたくなかった人間によって見事阻まれた。
「いやぁ逃がすわけないでしょ」とでも言いたげな笑顔(黒い)で腕をつかんできている。
見えてない。見えてないけど…分かる。100%笑顔だ!!しかも真っ黒な方の!!
尋常じゃないほど冷や汗が流れるのを確かに感じた。
これはもう幻聴とかいう次元の問題ではない。
完全にそこにいらっしゃる…!
え?これもう手遅れ?ゲームオーバー?
いや、まだだ。もしかしたら、ちょっと知り合いだから挨拶に来ただけかもしれない。
むしろ、そうであって欲しい。
「…な…んで、ここに…」
「今日から仮入部だったよね?直々に迎えにきてあげたんだけど、もちろん嬉しいよね?」
「いや、まだ朝ですけど。っていうか入る気n「え?」…あ…えっと…」
なんということ!!全く反撃の隙がない。ドス黒いオーラに押されて涙が出そうになる。
こ、これが追い詰められた獲物の気分っ…!!
「む、ムリですっ。私なんかがマネージャーなんて、恐れ多くて…」
「俺の満月なら出来るよ☆」
「…精ちゃんのじゃ、ないですから!」
「ま、帰りに迎え寄越すから。逃げたらどうなるか分からない程、バカじゃないよね?」
「……」
あぁ。他人が見たらみるみる顔が真っ青になっていることだろう。
私の平穏を願う決意は入学早々絶たれたことを悟った。
「ひ、ひぃー…!」
「(予想通りの反応してくれるね、ふふっ)」
後日人から聞いた話だが、その日精ちゃんはいつにも増して神々しい微笑みを浮かべていらっしゃったとか。
ホラーと同じ行間にしたら色のせいか非常に見にくかったので、多めにとりました。
ほぼ1人称です、ナレーター以外。
これから頑張ります。是非とも氷帝も書きたい
感想とかアンケートとかもしよろしければ
2012 3/10 更新
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