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長編ホラー
意外な出会い
「日吉!ちょっと良いか」
「はい、何ですか?」


誰かからの電話を終えた後、跡部は日吉を呼んだ。
部室に集まっているレギュラー陣は自然と跡部に注目する。

「立海の丸井とマネージャーがお前に会って話しがしたいらしい。明日の放課後時間をとってやれ」
「…なぜですか?」


日吉は物凄い嫌な顔している。
貴重な時間が他校に取られるのは面白くないようだ。


「少し様子が違ったからな。あいつらが何を考えてるのかは知らねェが、時間をとってやれ」
「…分かりました」
「放課後応接間に案内してやれ。この校舎は迷うからな」


どうやらまだ納得はしていないようで、眉間にシワがよったままだ。
事のなりゆきを半分眠っていたように見ていたジローがバッと体を起こす。


「ねぇねぇ跡部。丸井君来るの?俺も案内したいC」
「…止めてもどうせ行くんだ、好きにしろ」
「芥川さんも来るんですか…」


さらに面倒くさいことになりそうだ、と日吉は大きなため息を一つついた。

* * * * *

放課後、夜風と柳生は図書館で調べ物をしたが、裏の立海で一度調べていたからかこれといった収穫はなかった。
改めて復習しただけレベルのものだ。
そして、そのまま次の日の放課後を迎えることになった。


「資料と実物じゃやっぱ迫力が違うな〜」
「いつ見ても、やっぱ凄ぇな」
「あっ!丸井君だC!!」
「あ、芥川?」


夜風とブン太は氷帝の巨大な校門の前に立っていた。
立海の校舎とはまた違う雰囲気が漂うお金持ち学校だ。
ブン太のファンであるジローはブン太を見つけるなり走って駆け寄る。その後ろからジローとは対照的な表情を浮かべた少年が歩いてきた。


「…夜風…?」
「…へ?」


日吉は夜風の顔を見ると小さくそう呟いた。
不機嫌な表情から驚きの表情へと変化している。
夜風は変化も呟きも気づいたが、ブン太とジローは気付かなかったようで話し続けている。


…何で私の名前を知ってる?
会ったことはないはずだ。私が日吉を知っているのはともかく、その逆は有り得ない。
そもそも彼は私の苗字ではなく名を呼んだ。
そんな親しい間柄だった記憶はない。
どうゆうこと…?


「……」
「いえ、気のせいでした忘れてください」


夜風の沈黙を見ると、日吉は先程の発言を無理やり訂正した。
つっかかりを覚えるが向こうが気にするなと言うのなら気にしないのが一番なんだろう。
気になって仕方ないが。


「初めまして。日吉若です」
「…あっ初めまして…?月村夜風です…」
「俺ね〜芥川慈郎っ。ジローって呼んで?」
「ジロー君?」
「うんっ」


ジローはまるで春の陽ざしのように笑う。
マイペースな男の子だけれど、何も見ていないわけではない。
夜風と日吉の間に敏感に何かを感じ取り、さりげなく自分に注意を向ける。
中々鋭い男の子だ。


「じゃあ俺もう練習戻るね?ホントはもっと2人と話してたいけど〜跡部に怒られちゃうC」
「おうじゃあな、芥川」
「あっまたね?」
「うん、またね〜丸井君、夜風ちゃん!」


そうゆうとあっという間に走り去っていった。
中学生らしい元気の良さだ。


「なんか、ちゃん付けとか新鮮だったなぁ。あと可愛いし。立海にあーゆうタイプが居れば和むのに」
「…赤也が居るだろぃ?生意気に後輩だけどさ」
「だって赤也キレたら怖いし。ブン太が一番ちっさいから」


皆、中学生の身長じゃないって前から突っ込みたかったよ。
190cm代とか何なの?って。
ちょっと蓮二に聞いて立海の平均身長調べたら174だったからね!?驚きだよ


「お前にちっさい言われたくねー。俺より10cmぐらいチビだろぃ?」
「皆が可笑しいんだと思うよ、私は」


夜風が真面目に答えたら、前で日吉が若干笑っていた。一体どこがお気に召したというのか。


「芥川さんだって貴方より大きいですから。貴方より小さい人は早々いませんよ。1年ならともかく、ですが」
「あははナイス日吉!」
「……。時間無いんですよね?急ぎましょうか?」
「それもそうですね。案内します」
「夜風…怒るなよ…っ…」

怒るなと言いながら笑いを堪えきれてないブン太は怒らせる気しかないと思う。
こんなことになるなら、色々知っている蓮二とくれば良かったと思うがもう既に遅い。
嘆いてもしかたないので小さく蹴りをお見舞いしてから、日吉の後を追って氷帝の校舎へと向かった。




すごいほのぼのテンションで行ってみました
今回は全体を通してホラー要素が薄いんじゃないかと思ってます
まだ分かりませんが
ホラー連載って言っときながら何だよって話です
申し訳ありません…

2012 1/6 更新

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あきゅろす。
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