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長編ホラー
まず何から始めようか
奇妙な世界から帰ってきた次の日の昼休み。
さっそく立海レギュラーとマネージャーは幸村によって屋上に召集をかけられた。
内容はもちろん決まっている。これからしなければならないことについてだ。


「皆、元気そうで良かったよ」
「幸村君?どこ見たらそう「ん?」…いえ、何でもないです」


やはりガッツリ叱られたらしいメンバーは居たようだ。
寝不足なのか、まだ疲れが取れてないのか少し元気がないような気もするが、学校にはきちんは登校している。
流石に今日は緊急で朝練を中止したらしく、丸井は遅刻ギリギリだった。


「時間もないから話を進めていいか精市」
「…そうだね。今回呼んだのは部活と『死神』の調査、花子さんが言ってた能力の3つを同時進行しなければならないからだ」
「あ〜ハードスケジュールっスね…」
「テストはまだ先で良かったですね、切原君」
「何で俺限定なんスか柳生先パイ」


いくら『死神』や能力について調べて対策しなければならないとしても、幸村たちは全国3連覇を目指す王者なのだ。
部活を疎かにすることは出来ない。
それは誰もが理解している。


「今後朝練は通常通り行うが、部活は交代で調べものにあたろうと思う。夜風はしばらくマネージャー業を休んで調べものに集中して欲しい」
「大変じゃない?良いの…?」
「うむ、問題ない。元々始めはそうだったからな」
「休む人は夜風と別行動か?」
「いや、なるべく一緒に行動して欲しい。何か有ったときに一人だとマズイからね」


それと自分がどう変わったのかは各自把握しておくように、と釘を刺された。
それが一番問題だろうに…。
夜風はまだ自分がどう変わったのか全然理解していない。ほかの人もきっとそうだろう。
…幸村や柳は理解してそうな気がするのは気のせいだろうか。


「ふふっ流石に昨日の今日じゃ無理かな」
「誰も何も言ってないッスよ?」
「あれ?そうだったかな」


これ以上収穫がないということで、今日は解散することになった。
今日から毎日昼休みはミーティングになる予定だそうだ。


昨日の体験は目の前に死の恐怖を感じた。
二度と体験したくないけれど、もし…いや確実にまた巻き込まれるのは目に見えている。
七不思議って話で聞くと怖いだけだけども、思ったよりグロテスクだったなと思い出して夜風は少し顔色が悪くなる。


ん?七不思議……ホラー…


自分の物思いに引っかかりを感じる。何かを忘れているような…?
………………あっ!!


「日吉だ!!」
「日吉?お前会ったこと会ったっけ…?」


突然他校の人間の名前を出したことに、隣に席だったブン太はそう呟く。
仁王は席は離れているものの確実に耳を澄ませているだろう。


「え…?あ、いやちょっとホラ!氷帝強いからデータ知ってるんだ、うん」
「…明らかに挙動不審じゃねーか」


ちょっと挙動不審になったが正直に言える訳がない。
元の世界の本のデータで知っていました、なんてこと。


「で?日吉がどうかしたのか?」
「なんかさーあの人ホラーが好きって聞いたことあるんだよ。七不思議に詳しいんだって」
「お前…柳みたいになってんぞ…?」
「クククっ。ツッコムとこ間違っとるぜよ。相変わらずおバカさんじゃのー丸井は」
「わざとに決まってんだろ!わ・ざ・と!!」


夜風の話に興味を持ったのか、仁王は席を立って二人の近くまでやってくる。
クラスメイトは気を使って少し離れてくれている。
こんな時、イジメとかする幼稚な人たちじゃなくて良かったと心から思う。


「お前さんは日吉と知り合いなんか?」
「ううん違うけど…あっそっか。いきなりそんなこと聞いたら怪しまれるか」
「そもそもどーやって会いに行くんだよ。あそこセキュリティー凄いだろぃ?」
「う〜ん」
「プリッ」
「何?いい意見でもあるの?」


仁王は何か含みのある笑顔を向けている。
言いたいことがあるなら、行って欲しいものだ。


「そんな顔しなさんな。幸村に相談したらええ。偵察のお願いくらい通してくれるじゃろ」
「跡部、器でかいし意外になんとかなるかもしれないぜ?幸村君のあのオーラは魔……」
「ま?」
「忘れてくれ。俺はまだ死にたくない」
「ブン太ギリだよギリ。精市そこに居る…」
「ぅえ!?」


1時間くらい前に会った人物がそこに居た。
それはもう素晴らしい笑顔を向けて。


「どしたの?精市」
「蓮二にいい情報を聞いてね。氷帝に行ってもらおうと思って」
「もしかしなくても日吉君?」


一応君付けしてみた。会ったこともない人に呼び捨てにされるのは嫌だと思う。


「ふふっ夜風はいい子だね。その通りだよ」
「今その話をして、頼みに行こうと思ってたんだ」
「じゃあさっそく…と言いたいところだけど、今日はいきなり過ぎて無理なようだから明日の放課後行ってきてくれるかな?丸井と」
「お、俺?」


幸村の的確かつ迅速な行動のおかげで、さっそくやるべきことが見つかった。
日吉には七不思議や妖怪とかいったものの話を聞くことになるだろう。
何か少しでも手掛かりになればいいと思う。


「じゃ、今日は図書館で下調べかな。何も知らない状態で行っても失礼なだけだし」
「今日は柳生が休みだから、一緒に調べると良いよ」
「了解!」


こうして『死神』に向けての地道な作業が始まった。


不安ながらも二章スタートしました
日吉とブン太以外あまり期待しない方がよろしいかと…
次回日吉に会いに行きます!
実は日吉が一番好きだったりする管理人

2011 12/13 更新

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