榛名元希
*愛しあえない原因は
「止め、て止、めてよ」
そう泣いて懇願する彼女に俺は優しい笑みを向けた。
心配することなんて無いじゃん、大丈夫だって。
「い、やあ!たか、や!」
隆也…またかよ。
いつになったら俺の名前を呼ぶんだよ。
ぎりっと首にかける手の力を強くした。
彼女は少し目を開いてまた隆也、とあいつの名前を呟く。
何でだよ俺を見ろよ。
あいつより俺はお前を愛せる自信あんだぜ?
好きだよ好きだよ好きだよ好きだよ。
彼女の首からつうっと赤いものが伝う。
それが首から鎖骨に胸に。
滴る血は鮮やかで、色っぽい。
俺の何かを騒ぎ立てるようで、俺も指をいっそう強めた。
「たか、や愛して、る」
そう言った彼女は俺が見たこともないような笑みを浮かべていた。
首の力が抜けて俺の手にがくっと彼女の重みがかかる。
愛しあえない原因は
(少しでもいい)(だからその笑みを)(俺にも下さい)
◎
やっぱ狂愛むずい
久しぶりに書いたー
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!