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鬼灯の冷徹
1話:【出会い、それは最悪の具現化】

いつものように金魚草に水をやっている時だった。
「鬼灯様〜!大変です〜!!」
地獄のチップとデールこと唐瓜と茄子がもの凄いスピードで走って来たのだ。
「どうしました騒々しい」
「死んでない〜って閻魔大王様もたじたじになってて!」
「それじゃあ訳分かんないだろ!とにかく閻魔殿に来て下さい!!」
緊急事態でもこの2人(鬼だが)の息はピッタリなんだなと感心しつつ、閻魔殿へ急いだ。

  


「だから死んでないって言ってるじゃないですか!!」
叫び続けて早2時間。いい加減折れろよと目の前の大きなおっさんを睨みつける。
「でもね・・・・・・死んでなかったらこんな所来れないんだよ〜!!」 
流石にこう何時間も文句を言われた事が無かったのだろう。凄く焦っている。

いわゆる「あの世」と言う所に来てしまい焦りたいのはこっちだっての。いや、来た事に焦っているのではない。死んでいないのに来てしまった事に焦っているのだ。
というのも、何を隠そう。私には死んだときの記憶・・・・・・もとい過去の記憶が無い。・・・・・・厨二病とかじゃないですよ?!本当にまじめに完璧に、過去の記憶が御座いません。

「一体何の騒ぎですか」          
凛とした声が構内に響いた。
「あぁ鬼灯君!助けてよ〜!」
「天下の閻魔大王が何情けない姿をさらしてるんですか」    
ホオズキクンと呼ばれた人(いや、角があるから人じゃないのか?)は大きいおっさんーー改め閻魔大王から事情を聞いているようだ。
「・・・・・・記憶が・・・・・・彼女は多分・・・・・・えぇ、あの時の・・・・・・手続きも・・・・・・では、まずはあの方の魂を探して・・・・・・そう言う事でしたら・・・・・・」  

断片的にしか聞こえてこないが、どうやら分かってくれたらいし。これで帰れる!と思った瞬間、その希望は一瞬で奪われる事になる。
「特例ですが・・・・・・我儘を言う亡者に情けは無用。あなたはここで雑巾のように働いて貰います」
「あぁ良かった〜・・・・・・って、え?」
「はいはい。ギャラリーの皆さんも散った散った」
パンパンと手を叩きながら、慣れた手つきで事態の収束をはかるホオズキクン。それを見ても懲りずに物申したのが悪かった。
「しつこい!!」        
「ギャッ!!」 
グロテスクな形状の金棒でぶん殴られました。

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