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鬼灯の冷徹
19話:【真っ黒チャーハンと究極の二択】

「び、美女ばっかや・・・・・・!」
食堂が混んでいたため、私たちは衆合地獄へとやって来ました。右も左も美女ばかりで私の心はウッキウキでございます。

「お腹すいた」
「ここ人多い」
一子ちゃんと二子ちゃんに手を引かれつつ、白澤さんの方を振り向いた。
「白澤さーん、どこでご飯にするん・・・・・・」
ですか、と言い終わる前に私は喋るのをやめた。

「白澤様よ!」
「白澤様ぁ〜今日は寄って行くのぉ?」
「白澤の旦那!可愛い子来てるよ!」
沢山の人が白澤さんに集まっている。ーーどんだけ常連なんだあの人!!

「あはは、また今度ね〜」
人の良さそうな笑みで手を振る白澤さんに冷たい視線を送る。それに気づいたのか彼はじゃっかん慌てたように近づいてきた。
「ゴメンゴメン!じゃあ行こうか」
「閻魔様とタオ君、二人で先に行っちゃいましたよ・・・・・・」
「やったぁ!じゃあ吉乃ちゃんと二人きりだね!」
「私たちもいる」
「吉乃様に近づくな野獣」
白澤さんが私の肩に手を伸ばしたとき、一子ちゃんと二子ちゃんが間髪入れずに白澤さんの手を弾いた。
「ちょ、何このボディーガード!?」
「鬼灯様に言われている」
「吉乃様に触れる白豚は叩き潰せと」
既に契約済のようです。

「ま、まぁまぁ。とりあえず早くご飯に行きましょう!」
睨み合う三人の間に割って入ると、急いで二人を抱き抱えた。









白澤さんの案内でやって来たのは、オシャレな外観の中華料理店だった。
「ここの杏仁豆腐、本当に美味しいんだ〜。絶対吉乃ちゃんも気にいるよ!」
“アンニンドウフ”という魅惑の響きに、私の脳内は一瞬で侵食された。中国出身(?)の彼が言うのだから、間違いはない。

「一子ちゃん、二子ちゃん何にしますか?」
二人の目線に合うようにメニューを広げると、2人はそろっててっぺんに真っ黒な旗が刺さったチャーハンを指差した。・・・・・・何この旗怖い。国旗?国旗なのか、この黒いのは。

二人の食べたい物を把握してから、私は私でメニューを見る。そこに並んだ写真が、どれも一生懸命に私を誘惑してきたため、思わず両手が震えた。

「どっちにすべきか・・・・・・」
料理は二択に絞られた。お野菜たっぷり五目焼きそばか、ふんわり卵の天津飯か。究極の二択だ。もちろん、両方頼むという選択肢もある。しかし一子ちゃんと二子ちゃんが食べ終わるった後、私のことを待つという時間は作りたくない・・・・・・。

私は、瞬間的に二品目の利点を真剣に考えたのち、お腹にたまるであろうと予測した天津飯を注文した。さらば、五目焼きそば。お前のことは一生忘れない。

料理を待つ間、一子ちゃんとニ子ちゃんが飽きてしまうのではないかと思っていたが、二人はどうやら周りの人々に興味津々のようだ。人間観察を始めると、それきりボソボソと喋りながら楽しんでいた。それを見て、なんだか微笑ましい気持ちになっていると、白澤さんが話をきりだした。

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