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鬼灯の冷徹
8話:【ダイエットは地獄みたいなもの】

「やっぱり太ったよなぁ〜」         
そう言って、自分のお腹をつまむ閻魔様。    
「肥満は万病の元ですよ」           
「高槻の言う通りです。大王ダイエットしましょう!」                
何故かノリノリな鬼灯さん達と共に、ジムへ向かう事にした。       








「ハイ!あと100回!!」          
「「ホーズキズブートキャンプ!!」」     
「ネタが古いあと200回!!」        
 閻魔様のダイエットのお手伝いと言う事で一緒にジムに来た訳ですが・・・・・・。          
「なっ・・・・・・何で私まで・・・・・・!!」  
「四の五の言わない!高槻はプラス500回!」
「無理に決まってんだろ!」        
もう既に、全身ツリそうです。         

「大体・・・・・・君みたいに太らない人にはワシの気持ちは分からないよ!」            
確かに鬼灯さんは筋肉でがっしりしてはいるが、細い。
「何もしてないみたいに言わないで下さい」   
と語り出す鬼灯さん。鬼灯さんの太らない理由を聞いていると――閻魔様が可哀そうに思えてきた。   

「それに高槻。あなたも食べる割に太らないでしょう」                
「何もしてないみたいに言わないで下さい!」  
鬼灯さんと同じセリフで返す。    
「鬼灯さんからの鬼のような量の仕事をこなし、鬼灯さんの背中を狙いつつ、鬼灯さんからの攻撃をかわす・・・・・・もの凄い運動量です」        
「私が一役かってましたか・・・・・・」      
「感謝しませんよ!?」      
あれだけ動き回っているんだ。太ってたまるかよ。 

「理不尽だよ〜!!」            
鬼灯さんのダイエット法は体に悪そうなので文句を言っていると、一人の女性を連れてきた。
「何とんでもない美人捕まえてきてるんですか!!」 
興奮気味に美人に飛びつこうとすると、鬼灯さんに叩かれた。
何です?俺の女とでも言いたいんですか?
「ダイエットは女性に聞くのが1番だと思いまして。それから高槻。こちらはお香さんです。衆合地獄の主任補佐ですよ」   
「ばっりばりのキャリアウーマン!・・・・・・初めまして高槻吉乃です」          
「よろしくねぇ吉乃ちゃん」       

うわぁ何だか凄くいい匂いがする・・・・・・死んでからはよくベッピンさんに会えるから死ぬのも悪くないかも・・・・・・なんて。

そんな事を考えていると、お香さん・・・・・・否お香姐さんは私の耳元で囁いた。           
「噂は聞いてるわよ?鬼灯様とお付き合いしてるんでしょう?」               
「はぁ!!?な訳ねーです。何処情報ですかソレ」 
「あら、2人のじゃれ合いはもう獄卒名物よ?」 
じゃれ合い!?そんな可愛らしいものではありません!こっちは少し気を抜けばもう一度天に召されるかもしれないんだから。
それに・・・・・・そんな名物は嫌だ!と、一人ツッコミを入れていると                
「でも鬼灯様はモテるから・・・・・・その――ううん何でもないわ」           
何かを言おうとしてやめるお香姐さん。首を傾げていると
「とにかく、困った事があったらいつでも相談するのよ?」                 
そう言い笑ったお香姐さんはとんでもなく色っぽかった。この人が上司だったらどんなに良かったか。

「いつまで話してるんですか」        
鬼灯さんの声にハッとする。私達はお香姐さんオススメダイエット法を行うことにしました。

行った先の八寒地獄で遭難したのは、また別のお話。











「つ・・・・・・疲れた・・・・・・」           
亡者でもこんなに疲れるんだ・・・・・・。地獄のダイエットから戻り、歩くのもつらい状態で、食堂へ来た私達。
「あぁ大王。またそんなに食べて」      
不快そうに眉を寄せる鬼灯さん。      
「また明日からダイエットはするよ〜」    
「私はもうダイエットはしたくないです・・・・・・」 
「あらぁ残念。吉乃ともう少しやりたかったわぁ」
「お香姐さんが一緒なら地獄の果てまで付き合います」

良い大人が揃って盛り上がっていると、『怖い女上司』的な映像がテレビが放送していた。
その映像に対するそれそれぞれの感想を聞きながら、私も映像に目を移す。          

『学校でのいじめが社会問題になっています』  
物騒な世の中だなぁ、と思っていると不意に頭が霞初めた。                   
「ん?あれ・・・・・・?」            
「高槻・・・・・・?どうしたんですか?」  
心配そうに(いや違う。ただの真顔だコレ)見つめて来る鬼灯さん。なんでもないです、と答え食事を再開させる。

――何だか今、すごい重要な事を思い出そうとした気がするのだが、霞がかった頭ではろくに思い出す事も出来ない。

思い出せない=そんなに必要な事でもない。と自己完結した私は夕食の豚カツにかじりつく。    

「地獄のクセに・・・・・・うめぇコレ」  
「クセにとは失礼ですね」          
目の前にある豚カツをたいらげていると死にそうな顔をした子供が、横を通った。       
「ホントに難しい問題です・・・・・・」     
「おや、木霊さんじゃないですか」  
どうやら鬼灯さんは面識があるらしい。自己紹介もかねて一緒に食事をとる事になった。     

木霊さんの話を聞いてみると、花粉症に悩んでいるらしい。なんというか・・・・・・気の毒だなぁ。

しかし、花粉症の他にも山にいずらい理由があるらしく。山神ファミリーとやらが今、面倒な事になっていると言う。
「山神ファミリーの2トップ石長姫と木花咲耶姫、短くイワ姫とサクヤ姫としましょう。この2人姉妹なのですが・・・・・・」                  
そう言って木霊さんは1つの写真を取り出した。 
「どんな事になるか大体想像はつきますね」   
「最早詐欺だろ、山神ファミリー」      
「吉乃・・・・・・言い過ぎよぉ」      
いやだってコレ、ドラマで見た事ありますよ。妹の方が姉より色々優れてるってヤツ。サクヤ姫可愛いっ。 

「ちょっと行ってみたいですね」  
ん?意外と鬼灯さんも女性に興味があるのか?・・・・・・それなら私にも、もう少し女性的な対応をとって頂きたい。スゴク。         
「ええっ!?本当ですか!?」        
「はい。行きますよ高槻」      
「現世ですね?ご一緒します!」      

速攻で答えたのが意外だったのか、お香姐さんは少し驚いた顔をした。
だってコレ行くしかないですよ。二人の姫も見れるし私も何か思い出すかもしれないし。遠足前の子供のような気持ちでいると木霊さんが待ったをかけた。    
「吉乃さんは無理ですよ!美人が森に入るとイワ姫様が何をするか・・・」       
途端に青ざめていく木霊さん。いやしかし何も問題はないのです。                
「大丈夫ですよ。お香姐さんには隠れて貰っておきますから」                  












吉乃に聞こえないように木霊はそっと鬼灯に尋ねた。             
「あの、彼女は本気でご自身をその・・・・・・醜女だと思っているんですかね・・・・・・?」     
「あれが冗談に見えますか?」     
「全然見えないから怖いんです・・・・・・」     
心配な思いを抱えたまま、吉乃も一緒に行く事になった。 


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