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REBORN
掌 XANXUS甘
「おい」
「ん?」
「いつまでこうしているつもりだ」

任務帰りの名前とXANXUSは気が向いたので町に立ち寄ることにした。
XANXUSが指したのは手。
XANXUSの左手と名前の右手は繋がれている。
恋人同士だから当然と言えば当然なのだが。
「まぁ、いいじゃん、たまにはさ」
一歩先を歩く名前は振り返り、笑った。
この年になってもやはり惚れた女には照れるものなのか、などとXANXUSは考えていたが、同じく手を繋いで歩くカップルを見て、自分達の手をまじまじと見た。
何かが違う。
「あ、ジェラート。買って来るね」
するりと一瞬で離れる名前の手と、遠ざかる名前の背に、苦しくなるのを感じた。

「お待たせ。あそこのベンチに座ろうよ」
と名前が呼びかけたきり、XANXUSは無言だった。
何が気に食わなかったのだろう、イチゴよりもこっちのチョコレートがよかったのだろうかなどと名前が考えているうちにXANXUSは食べ終わったらしく、こちらをじっと見ていた。
「あ、ごめん、すぐ食べ終わるから」
「…焦らなくていい」
話しかけると、そっぽを向かれてしまった。
もしかして
「食べる?」
名前がスプーンにジェラートをのせ、差し出す。
「お前、何考えて…いや、食う。食わせろ」
間接キスなどと考えていたXANXUSに気づかず、名前はXANXUSにジェラートを差し出した。
「おいしい?」
「ああ」
「よかった。…間接キスだね」
まあ恥らうような間柄じゃ、と続ける名前の言葉をさえぎるXANXUS。
「いっそ間接じゃないのもするか」
「へ?…っ」
重なる唇にチョコレートの味を感じる。
公衆の面前で、と心配する名前を他所に、XANXUSは名前の唇を堪能すると、立ち上がった。
「そろそろ行くぞ」
「あ、うん」
XANXUSは歩き出そうとする名前に待て、と声をかけた。
「手はどうした」
「えっ…XANXUS繋ぐの嫌じゃなかったの?」
「誰もんなこと言ってねぇだろ」
そう言われれば反論できない名前は先ほどと同じくXANXUSの手を取った。
「そうじゃねぇだろ、名前」
違うと言われた名前は戸惑う。何が違うのかわからないのだ。先と何にも変わっていない。
「こっちだ」
そう言ったXANXUSは名前の指に己の指を絡めていく。
「これならさっきみたいに離れることもねぇ」
触れた掌は大きく、あたたかかった。







あとがき
本題からずれてしまい戻すのに苦労しました。
これ、手のお話だからね!
ちゅーのはなしじゃないから!
所謂恋人繋ぎってやつです
教訓「流れを考えてから書こう」

090124 18:19


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あきゅろす。
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