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REBORN
須らく君は愛しい 骸甘夢 後編



目が覚めると、朝日が差していた。
夢の中の君は優しくて、私は素直だった。




どうしよ、どうしよう。
駅前のビルの陰で私は困っていた。
時計は9:23を指している。
いくらなんでも早すぎだ。
こんなところを見られたら彼に、骸にどう思われるか、なんと言われるか。
答えは簡単だ。
『名前も楽しみにしていたんですね』
そういう勘違いは避けたい。
いや、勘違いではないけれど。
あと30分、どうしよう。
「おや、名前じゃないですか。そんなところで何をしているんです?」
「あ、む、骸!別に、何も」
絶対、さっきのような勘違いな台詞を言うと思った。
だけど
「そうですか。じゃあ行きましょうか」
と彼は歩き出してしまった。

ふっと目に留まったのは綺麗なネックレス。
骸のオッドアイと同じ色だった。
けど、何となく悔しい気がして、何も言わずに通り過ぎた。

骸の足ってやっぱり長いんだなぁとか考えている場合じゃなかった。
すっかり置いて行かれている。
「きゃあっ」
どうもオシャレのために普段履かないサンダルを履いたのが悪かったらしい。
よろけて人に手をついてしまった。
「す、すいません」
謝罪し、身を引こうとした瞬間、違和感があった。
手を握られて、放してくれない。
何だろう、この男。
「あの」
「かわいいね、君」
は?何だこいつ。
気持ち悪い。
握られたというより、もはや掴まれたと言ったほうがいいだろう。
「ちょっとお茶しない?いい店知ってんだけど」
「あの、連れがいるんで」
男は辺りを見回した後、いないじゃんと言った。
しまった。
骸の姿が見えない。
「じゃあ行こっか」
拒否権がないとかそんなもんじゃない。
早くその汚い手を
「その汚らしい手を放してください」
後ろから声がした。
私は頭を仰け反らせ、あっ骸、と言ったが骸は男を見据えたままだった。
男は何やらわけのわからないことを言うと、走って逃げてしまった。
「えっと、骸?」
そのまま私は骸に手を引かれ、路地裏に引き込まれた。

日の光が弱くなった途端、抱きしめられた。
というより、骸が抱きついているみたいだ。
声をかけようとしたら、か細い声がした。
「ど…て、あ…は」
「えっ?」
聞き返すと、今度は目を合わされ、反らせなくなる。
「どうして貴女は、名前は、こんなに愛しているのに気付いてくれないんでしょう。
何故伝わらないんでしょう。本当は誰の目にも触れさせたくないんです」
こんなに切なそうな骸を見るのは初めてで、私は戸惑っていた。
けど、せめて私の想いが届くように骸を抱きしめた。
「わ、私は、骸が好き、だよ。ただ、どうすればいいか、わかんなくて…。好きって言われるのも正直不安で…」
骸は一瞬驚いたように身体を強張らせたが、そっと抱きしめ返してくれた。
「僕が名前に言う言葉に嘘偽りはありません。この感情をどうやって伝えればいいかわからないので『愛してる』という言葉を使うんです」
私は、何故だかわからないけど泣きそうになった。
「愛しています」
そう言って、骸はキスをした。
夢の中のように。








あとがき
やっと肩の荷が下りました。
辛かった…書くのが。
リア友の綺羅に捧げます
いらんとか言うなw

080827

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