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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
Page39
悠「さて、お仕置きの時間だよ♪」

ゼムス「―――――っ!?」


恐怖に引き攣る顔。

それを見ても、悠は歩みを止めることはなく。


次の瞬間、ゼムスの意識は真っ暗な闇へと落とされるのであった。



―――――――
―――――
―――




〜虚空神殿(内部廃墟)〜


外で響き渡る轟音と倒壊音。

その音に驚く者など既になく。

ここでは、先程の真剣な戦いとは打って変わった珍妙な女の戦いが行われていた。



香恋「で、どっちが大きかったのよ?」

凍夜「なんの話だ……?」

茜華「とぼけるでない。わっちと彼奴のすたいるの差じゃ。先程お主に測らせたであろう」

凍夜「…………………………」


詰め寄って来る二人を他所に、凍夜は助けを求めた眼差しでメリアを見詰める。

しかし、当のメリアは苦笑したままそっぽを向く。

恐らく、自分に振らないでほしいという心の現れなのだろう。


そのことに多少ため息を零しながら、今度は“別の者”へその思いを視線で送ってみる。


雷景「…………………(無理、絶対俺には無理)」


先程メリアによって傷の治療を終え、そして今の状況をメリアに説明された雷景は黙ってそれを黙視していた。

だが、それが突然話を振られたのだ。

驚きながらも自分の意思をハッキリと心から現す。



頼みの綱(?)である雷景にも断られ、凍夜は心の底からのため息を溢す。

本来、茜華の弟である雷景はこの状況に怒気を示さなければならないのだが、



『お主もわっちの方が勝っていることを確かめたいであろうっ!?ならば、黙視してその結果をしかと見よ、雷景っ!!』



などと彼の姉上様直々のご命令が在ったためにどうにもならなかった。

だが、雷景の表情は満更でもない事を物語っている。

それほど姉のことが好きなのか、それともただの危ない奴なだけか。

どちらにせよ、雷景も年頃の健全な男子と言うワケだ。



香恋「決着がつかないと、どうにも納得がいかないのよっ!」

茜華「そうじゃっ!故に、早ようわっちらの体系の差異を測れと申しておるっ!!」

凍夜「決着云々の前に、一つ聞きたいことがある」

香恋&茜華『なに?』

凍夜「何がどう絡み合い、そして何が原因でこんなふざけた事態になっているんだ?」


凍夜からの唐突な疑問。

それに対し、当の元凶である二人は首を傾げながら不思議そうな顔を見合わせている。


つまり―――――――――



香恋&茜華『……………さあ?』

凍夜「………っ」


二人の莫迦さ加減に軽く目眩を覚える凍夜。

しかし、その目眩に耐え、なんとか自分の身体を押しとどめる。



凍夜「貴様ら…………、本来の目的を忘れるほどまでに固執していたという訳かっ」


明らかに怒気が含まれた凍夜の声。

そのことに、二人は目尻に多少の涙を浮かべながら抱き合い、そしてガタガタと震え出す。


凍夜「……………っ、真剣に対応していた俺がバカだった。すまんが雷景、この場はお前とメリアでなんとかしておいてくれ。俺は、奴の許へ向かう」

雷景「ま、待ってくれよ凍夜さんっ。アンタ、なんで俺を殺さなかったんだ?」

凍夜「貴様はまだ若い。理由はそれだけだ。貴様の姉と、もう一度世界を見て回れ」


それだけ言うと、凍夜は一切振り返らず、その場から歩み出す。

そんな凍夜を追い掛けようとして、雷景は勿論、香恋も歩みを止める。

その背中には、「ついて来るな」と言う言葉が刻み込まれているような気がした。

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