D.C.S.B.〜永劫の絆〜 Page26 爆発的、飛躍的に上昇し始める互いの力。 それは出し惜しみなど必要ないと互いに認識し合った証。 二人の間に入り込める余地はなく、割って入れば容赦のない一撃の下、彼女達に下されるのは必定。 そう思わせるほどの覇気と力の奔流が、彼女達から発せられ、そして彼女達を取り巻く形で鎮座している。 メリア「す、すごい………っ。これが、香恋さんの本気……………」 凍夜「――――――ふっ。これほどの“力”を手にして、一体なにを恐れるというのだろうな。胸を張り、誇れ香恋。お前には、充分その“チカラ”があるのだからな」 香恋から奔流している力の流れとその密度、高さに驚愕の表情を滲ませるメリア。 そんな彼女の隣で、凍夜は香恋の“強さ”に改めて敬意を表し、そして讃えていた。 彼女は自分自身で力が無いと言って嘆いていた。 しかし、ソレは正しくは間違いだ。 香恋には充分他の誰かを護れる力がある。 そのことに偽りはない。 ただ、周りの者達の力の異様さに自分のことが小さく見え、視野が狭まってしまっていたのだ。 ソレを嘲笑う事など出来るモノは恐らくいないだろう。 仮に居るとすれば、その者は瞬く間に彼女を想っている者達に八つ裂きにされることは間違いない。 それだけ彼女は周りの者達に溶け込み、それだけ信頼し合っているという事となる。 香恋「――――神威、最終段階限定解除完了。………ふぅ、久しぶりね“神滅”」 全てのリミッターを取り払い、本来の名を喚び起された夏季家の退魔用の宝具、“神滅”は主の言葉に応えるように刃を妖しく煌かせる。 刀身は黄金の戦太刀。その輝きは、どんな存在でさえ概念諸共に消し飛ばしかねないほどの輝きを放っている。 しかし、姿が変わったのは彼女の持つ武器だけではない。 神威の真の名を解放するにあたり、香恋自身も少なからず神威――神滅の影響を受ける。 灰色であったロングストレートの髪は金色へと変わり、金色であった瞳は銀色へと変わっている。 それは、香恋が神滅の力を借りていることを意味している。 「ほほぅ?どうやら、お主“も”様変わりしたようじゃの?」 外見的にも内面的にも変化を遂げた香恋の前に、一人の女性が現れる。 その姿は何処か妖艶。 きつ過ぎる上の着物を肩まで下げ、肩と胸元を露わにしており、そして極めつけは太もも部分の絶対領域だ。 一種の変態どもがいれば鼻血を出して卒倒確定ものだろう。 それだけ一般の健全な青少年には刺激が強過ぎる服装だという事だ。 香恋「えっと…………誰?」 思わず口に出てしまった言葉。 しかしよく見れば何処かで見た事のある顔立ちをしている。 いや、今見ている顔立ちが幼くなった顔を何処かで見ている、と言ったほうが説明文としては的確か。 どちらにせよ、香恋だけでなく、その場に居る謎のセクシーお姉さん以外の者達はお姉さんのことを何処かで見たことがある、というワケだ。 しかし、香恋はおろか凍夜やメリアでさえも彼女の正体に気が付けず、ただ首を傾げてたが意味顔を見合わせては疑問符を浮かばせているだけ。 そんな三人の反応に、女性は肩をわなわなと震わせながら怒りを抑えているのも束の間、 香恋「えっと………私たち、何処かで会ったかしら?」 苦笑を浮かばせた香恋からトドメの言葉を受け取った。 「………――お、お主ら……本当に判らぬのか?」 香恋「いや、何処かで見たことはあるなぁ、とは思ってるんだけどさ。どうにも合致する人がいなくて…………」 ひくひくと顔を引き攣らせている女性の質問に、たはは、と乾いた笑みを浮かべながら答える香恋。 それが引き金となったのか、 「わっちは……………………茜華じゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!」 今まで溜め込んでいたモノが瞬間的に爆発した瞬間であった。 [Back][Next] [戻る] |