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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
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呼応する鼓動。

それは、助けを求める“誰か”のため。


湧き起こる霊圧。

それは、絶望という地獄より帰還する“異形”の塊。



発せられる霊圧は重苦しく、その姿を見る前に意識を削がれ兼ねないほどの脅威。

ゆらりとした動作で既に動かぬはずの者が立ち上がる

彼女の瞳に映し出されるその姿は、“異形”を超えたそのなれの果て。


メリア「…………刹、那……様………?」


溢れ返る雫越しに見える姿は、かつてのような“異形”ではなく。

それすら超えた完全なる“異質”。



アリオーシュ「―――――……………莫迦な。確かに奴の命を貫いた筈だっ」

凍夜「刹那…………」


変わり果てた存在に一人は驚愕し、一人は唖然とする。

今の彼は以前のような巨大さはなく、代わりにいつもの仮面が彼の頭全体を覆うように被さっている。


“異質”が右手を開く。

その動作になんの意味はない。

だが、彼の所持するモノ全ては例外らしく、彼が手放していた斬魄刀が、まるで吸い寄せられるかのように彼の手元に舞い戻る。


剣を手にし、瞬時に斜めに振り下げる。

瞬間、まるで抉ったかのようにして辺りに在る壁や柱、そして床が窪み破片の一部を宙へと舞わせる。



メリア「きゃああああああああああっっ」

凍夜「……メリアっ!」


剣圧によって生じた剣風により吹き飛ばされるメリア。

そんな彼女を凍夜は瞬時に救出に入る。


アリオーシュ「(この感じ………どうやらヒイラギセツナではないらしいな……)――――………何者だ、貴様」

刹那?「――――――っ」

アリオーシュ「答えろ。貴様は何者だと――――――」

刹那?「―――――――――…………っ」


アリオーシュが再度の問いかけを試みようとした直後、


刹那?「――――――……………ぅぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっっっっっっ」


彼の言葉をまるで遮るようにして、“異質”は“獣”の如く吠えた。



アリオーシュ「どうやら―――――言葉が通じんらしい……」

刹那「――――――――っっ」


冷静に告げられる言葉。

それを皮切りに始まる“異形”と“異質”の二つの“非常識”よる“戦争”。


そう。これは“戦争”だ。

戦闘では生易しく、死闘でもまだ微温(ぬる)い。

これは二つの“非常識”が起こすちっぽけというには大き過ぎ、巨大というには小さ過ぎる争い。

どちらも保有する力は既にヒトが持てるべき力の領域を遥かに凌駕し、その力を持ってすれば世界を破壊することなど容易いだろう。


それほどの力を持つ二人がぶつかり合う事を“戦争”と言ってもなんら違いはない。

どちらにせよ、戦いによって生じる被害の規模は変わらないのだから。



瞬歩を使って間合いを詰める。

だが、敵はそれを予測できないほど弱くなどなく、すぐさま迎撃態勢を取られる。

いつもの刹那ならば慎重に戦いに専念することだろう。

だが、この刹那は“違う”。


アリオーシュ「……!?なにっ!!」

刹那?「アアアアアアアアアアアアッッッッッッッッ」


迎撃するべく自身の腕を矛として構えていると、迎え撃つ敵は別段気にした様子もなく突っ込んでくる。

それもまさに強引に。

躊躇いも容赦もないと言うには些か違うような気もするが、今の彼にはそんな言葉など通用するはずがない。


強引に相手に肉薄し、そして強引に相手の腕を鷲掴みにする。

やはりそのことに驚くアリオーシュだが、刹那は相手の動揺などの一切を気にも留めずにそのままアリオーシュの腕を引き千切った。


アリオーシュ「――――――ぐっ!」


思いもよらない反撃によって深手を負うハメになったことに驚きながらも、アリオーシュは無駄に取り乱さず刹那の動きを予測する。

しかし、そんなことをしても最早意味はない。

なにせ今の刹那は、獣のソレと変わらないのだから。


アリオーシュ「おのれっ………――――――調子に乗るなよっ」


指先に集束し始める霊圧。

それは、刹那を窮地に追い込み、その命を鎖させた蒼き閃光に他ならない。



アリオーシュ「――――――!!」


充分に集束させた蒼き閃光を再び見舞う。

だが、それに対し刹那も指先に霊圧を集束させ、彼らの持つ技の中でも指折りに入る閃光を見舞う。


放たれる蒼き閃光と黒き閃光。

ぶつかり鬩ぎ合う二つの力は互いに譲らずの状態を保つのだが、


アリオーシュ「なにっ!?」


アリオーシュから再び漏れる、驚愕の声。

それも当然。

彼が放った蒼き閃光は、刹那の放った黒き閃光に圧し負け、侵食されながら自分に突き進んでくるのだから。


だが、アリオーシュも歴戦の戦士。

ただでやられるわけもなく、ギリギリのところで回避する。



アリオーシュ「(莫迦な………!奴の技は紛れもなく“黒虚閃”――――――…………という事は、今の奴は………―――――)」


刹那の放った黒き閃光から感じ取れる霊圧を解析して三度目の驚愕。

そして、その驚愕より悟る。

今の刹那の状態と、その身に起こった現象について。



アリオーシュ「(だとするのならば――――――柊刹那………なんと恐ろしい男だっ)――――――…………!?」

刹那?「……………――――」


感じ取った殺気に振り返ると、そこには徐々に虚に近付きつつある刹那の姿。

そして、アリオーシュは回避することもままならぬ状況で彼より振り下ろされる斬撃をその身に受けた。

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