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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
Page27
軋む肉体(カラダ)。

それは、今までの戦いに於ける損傷の大きさを物語っている。

触れ合う鉄と鉄。

互いにその重さを実感させながらも火花を散らせて互いを弾き出す。


浮遊する体躯。

しかし、どちらも地面を滑るが如く空中に足場を作り、そして勢いを殺していく。

まったくの同時に踏み止まった二人はすぐさま反撃に入り、互いに衝突し合う。

その度に巻き起こる霊圧の波。

それは余波を以って遠くにいる者達にもその凄まじさを物語っていた。


刹那「ちィ――――!」

アリオーシュ「ふふふ………」


方や不気味気に、方や余裕気に。

互いの表情(かお)に映る感情はどちらにとっても喜ばしいモノではないらしく、刹那は忌々しげに、アリオーシュはつまらなげに顔を顰めている。


アリオーシュ「やはりこの程度か、人間の小僧よ」

刹那「なんだとっ?」

アリオーシュ「この程度の実力で、よく原初三神の一角を足止め出来たなと言っている」

刹那「それは、どういう意味だっ」

アリオーシュ「少なくとも、俺の知っている奴はこの程度の者に手こずるような者ではない、という事だ」

刹那「つまり、なにが言いてぇんだ?テメエはっ」

アリオーシュ「奴に見せた力とやらを、俺にも見せてみろ」

刹那「な、にっ!?」


アリオーシュの言葉に疑問の念を抱く刹那。

それもそうだ。

アリオーシュの言っていることは自滅行動にも似たこと。

つまり、自分で死を選択しているようなものだ。

それに加え、アリオーシュ自身の真意が掴めない。

興味本位で虚化のことを言ってくることは即ち死を意味している。

それも、原初三神の一角であるセフィムの手を煩わせるほどの力だ。

どのような力であることは一目瞭然のはず。

それが解っていて「出せ」と言っているのか、それとも別の“ナニカ”があるから言ってきているのか。

それが解らぬまま、刹那は困惑する。


アリオーシュ「別に俺に遠慮する必要はない。貴様らの役目は俺達の殲滅だろう?ならば、なにを躊躇う必要がある?」

刹那「……………っ」


確かにアリオーシュの言っていることは正論だ。

自分達は少なくともこの場にいる者達の暗躍を阻止することが目的なのだ。

その進行を阻む者がいるのに対して、何故躊躇う必要があるのだろうか。


しかし、心の何処かで引っ掛かっている部分がある。

それは、最初にアリオーシュが現れた時のことだ。

あの時アリオーシュはなんの力も行使させない状態で自分達の間に割って入り、そして自分の腹部を刀で貫いていた。

そのことを踏まえると、おいそれと虚化を使うのは迂闊過ぎる行動だ。

故に、躊躇いも出る。


アリオーシュ「どうやら、俺程度の奴には使う必要はなしと見える」

刹那「ああ。その通りだ。よく解ってんじゃねえかよ」

アリオーシュ「まあいいだろう。そのうち解る。貴様がどれほど愚かな選択をしたかという事をな……っ」


アリオーシュの眼光が鋭く光る。

それに乗じて発生する莫大な霊圧。

その霊圧を感じて、先程浮き出た汗が頬を伝っていく。

それは恐怖からではなく、言い知れぬ感情が刹那の中で蠢き始めたからだ。


異様にして異質のような霊圧。

それが果たして今まで感じた事のある霊圧なのだろうか。

自分の中で自問自答する。

その結果は否だ。

如何に人知を超えた凍夜といえど、これほどまでの霊圧を放出したことはなかった。

つまり、今目の前に立っている存在は―――――


アリオーシュ「気をつけろ。神経を研ぎ澄まさなければ、」


その姿が陽炎の如く消える。

刹那にして一瞬の速度。

そう思えた時、


アリオーシュ「貴様の命は、無いに等しいのだからなっ」

刹那「っ!?」


雷光の如き一閃が、刹那の頭蓋目掛けて喰らい付いた。

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