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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
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〜前回までのあらすじ〜


突如として数多ある並行世界や次元世界全てに宣戦布告を表明した謎の組織。

それは、この物語の全ての元凶だった。


少年は家族の仇、そして己の運命を捻じ曲げられた愛しき者達の想いをぶつけるため、その刃を手に取る。

各所で行われる死闘と死闘。

それは壮絶を物語っており、戦いの生々しさをそのまま体現していた。


そして尚も続く激戦。



その戦いが繰り広げられている最中、ここ初音島でも異変が起こり始めていた。




〜初音島・柊邸〜



木々は怪しく揺れ。

幾度となく地震が島を襲う。

度重なる過度な揺れに海は荒れ、いつ津波が起きても不思議ではなかった。


その被害は恐らく島全体に及ぶだろう。

しかし、この場にいる者達には、そんな恐ろしくおぞましい光景など想像も出来はしない。



ライガ「っ!?」

メリア「どうかしましたか、ライガ?」

ライガ「………………誰?」

ルン「ライガ?」

ライガ「誰…?俺を呼ぶのは……?」


突然窓の外を凝視しながら、ライガはぶつぶつと独り言を呟き始める。

流石にこの言動にはメリアやほかのメンバーも心配になったのか、ライガの目の前まで行って彼の肩を叩く。


しかし、ライガからの反応ない。

反応はおろか、メリアが目の前にいることすら気が付いていない様子だ。


メリア「ライガっ!」

今度は肩を掴み、大きく揺らし始める。

だが、やはり反応はない。

ライガはメリアの声に応えることは無く、ただじっと空の彼方を凝視しているばかり。



琉香「向こうになにかあるのかな……?」

ことり「向こうって言っても、実際何処かわからないけどね………」

琴音「…………それは、言っちゃダメだと思います」

最後の琴音のツッコミに、ことりは苦笑しながら困ったような顔をする。

そんな彼女を、ほかのメンバーはいつものことだと言って笑い飛ばすのだが、



ライガ「……………来るっ!」

全員『え?』



それは、ライガの言った一言によって掻き消された。





遠くの彼方より響き渡る豪風に混ざった爆音。

その音に、僅かだが数人が反応する。


ライガの凝視していた場所に向かってじっと目を凝らす。


そこには、信じられない者が存在していた。


――――――――――
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――――――
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――




〜初音島・海岸付近〜





突如として巻き起こる旋風。

それは、正に竜巻のソレと同じだった。


荒れ狂うような嵐の渦は、徐々に初音島の海岸付近にまで迫って来ていた。

それも、人間を嘲笑い、そして全てを飲み込まんとするが如く。





―――――――
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―――






〜初音島・柊邸〜




ライガ「はっ―――――っ――――あ――――っ――――があ」

突然、玉のような汗を全身に浮かばせながら膝をつくライガ。

その突然の異変に驚いたメリア達は一斉にライガに近寄る。


メリア「大丈夫ですか、ライガっ!?ライガっ!」

ライガ「あ―――っ―――――ぢ――――がっ―――――っ――――」

メリアの必死の声に反応する暇もないのか、今にもどうにかなってしまいそうな顔をしたまま、自分の胸を抑え始める。


呼吸は荒々しく、そして脈絡は高速で伸縮をしている。

心臓は思った以上に激しく鼓動を訴えかけ、それは何処か外に出せと“ナニカ”が叫んでいる叫びでもあるようだった。


必死に胸を押さえこみ、堪えるのは自身の“暴走”。

このままではダメだ。

このままでは危険だ。

このままでは――――――――



― このままでは、みんなを“殺して”しまう ―



ドクン、と心臓が飛び跳ねる。

その衝動に、ライガは不快感を覚えた。

理由はわからないが、自分が一番考えたくもない結果がそうさせているのかもしれない。


そう。なにせ―――――



ライガ「(なにせ“オレ”は………“父さん”の遺伝子から生まれし存在)」


その真実を知った瞬間、少年は――――



ライガ「あああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっっ」




――――――――ケモノの如く、吠えた。

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