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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
Page35
ルン「――――っ!」

息を呑む―――――。

そう。相手はすでに自分の後ろを捉えていた。


いや、後ろだけではない。自分自身ですら捉えられていたのだ。

気がついたときには、すでに遅い。


振り下ろされる刃は、本来ならばものすごい速度を以って自分を両断にかかっているのだろうが、今はそれが刹那よりも速く一瞬よりも遅い狭間の中で、ゆっくりと自分に振り下ろされている。

覚悟を決めて目を閉じる。

これが戦場ならば、自分は死んでいるのだ。

そう思い浮かべながら、ルンは最後に金属同士がぶつかり合う音を耳にした。


“ガキィィィィィンッ!!!!”




――――――――――




刹那「ふむ。ルンは撃墜確定………か」

そう口にしながら、刹那はその様子をモニターと肉眼越しに眺めていた。

モニターには、先程翼が斬魄刀を解放してからの映像が映し出されている。


なのは「うーん。やっぱり強いんだね、翼ちゃんって………」

刹那「そりゃあな。歳だけで言えば、俺達よりもずっと長生きしてんだぞ?そんな奴らが弱い、なんてこと自体有り得ないだろ。それに、翼は王族特務、それも零番隊の隊員だ。だが、ただの隊員としては実力は第三席レベルときたもんだ。そんな存在が、弱いわけがない」

モニター越しに翼の順応力、適応力の高さに、素直に驚き唸っているなのはに、刹那がさらに説明を付け加える。

彼女達からすれば、翼、刃、仙禮、司、この四人の実力は全くの未知数だ。

以前からどれほどの実力だということは話では聞いていたが、やはり実際に見てみなければ真偽ははっきりとしない。


はやて「それにしても、死神って言うもんはホンマに化けモンやね……。これがほかにも大勢おるって話やから、これは世界同士が戦ったら、私らの負けは確定かな……?」

改めて死神という存在に脅威とも呼べる印象を植え付けられたと言わんばかりに、はやては忌々しそうな表情で皮肉を口にする。

フェイト「けど、その死神たちには弱点っていうものもあるんじゃないかな?私は、そう言うのは絶対にあると思うんだけど……」

なのは「その弱点って言うのがなんなのかは、さすがに刹那くんたちじゃないとわからないんじゃ………?」

なにやら物騒な話をし始める管理局の若手三大エースの皆様。

彼女達は一体何処からこのような話になったのだろうかと、刹那は内心怯えていたりする。

そして、最も恐れているのが、寝込みを襲われかねない、という恐怖心のみ。


転移魔法を阻害することも出来るが、さすがに寝ている最中に砲撃魔法などで一気に攻め込まれたらたまったもんではない。

それを一瞬でも考えたのか、刹那は言い知れぬ恐怖に身震いした。


フェイト「あっ。ルンが……!」

突然声を上げるフェイト。

その声に現実に引き戻された刹那はモニターに視線を送ると、すでに斬魄刀を解放した翼がルンの背後に回り込んでいた。

刹那「これはまずいな…。距離から言ってもあの距離じゃ振るわれる剣の軌道を躱すのは至難の業。かといって仲間が助けに割って入れるほどの距離でもない………さて、どうする?」

最後に刹那がポツリと独り言のように呟いたときだった。


双刀がルンに振り下ろされる。

回避するのは不可能。

仮に一撃目を躱すことが出来ても二撃目までは躱せない。


誰もがルンの撃墜を確信したときだった。



“ガキィィィィィィィンッ!!!!”


その双刃は、一つの刃によって阻まれた。



刹那「ほぅ。そう来たか――――――中々やるじゃないか……ライガ」



翼の神速にも及ぶ攻撃を受け止めた我が子、ライガの姿を見て、刹那は誇らしげに微笑んだ。

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