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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
Page28
これまでのことを一通り話し終えると、凍夜は軽く息を吐き、言葉を切った。


凍夜から聞いた過去を目の当たりにして、話を聞いていた者達は全員俯き、悲痛な面持ちを浮かべていた。

これは同情でもなければ哀情でもない。

あるのはただ、壮絶とした過去を聞いたことによる驚愕のみ。


凍夜「その後俺達は身寄りとなる家には行かず、霊界からの使者の言葉に乗って霊界へと向かった。自分達が手にした力を、今度はどのようなことのために行使するかどうか、それを見定め、決意するために…な」


場の空気が重い。

やはり話すべきではなかったのだろうかと、凍夜は内心後悔にも似た感情が募る。


誰も、なにも音を発しないこの静寂の中で、なのはだけが、


なのは「そんな辛いことが、あったんだね……」


そう、悲しみを孕んだ表情で告げた。

同情というモノはない。

ただ、彼らの在りようの理由(わけ)、在り方。

この双方に於いて辛過ぎる現実を背負っていることに対する悲しみという感情だけが、彼女の言葉から読み取れる。


凍夜「………確かに、辛いことなのかもしれないが、結果どうあれ俺達にとっては己を鍛え上げることが出来た。それを考えると、あの惨状がなければ、今頃俺達はどうなっていたのだろうかと……思ってしまう」

稟「変わらず泣き虫ってことなんじゃないのか?」

凍夜「……ぐっ」

純一「ああ、確かにそれは言えてるかもな。だって、凍夜の昔話し聞いてれば必然的にそうなる可能性もあるってことだろ?」

凍夜「そこは否定しないが、あんまり口が過ぎるとあとで後悔することになるぞ?」

過去話をダシにからかってくる二人をキッとした表情で睨み付ける凍夜。

その表情に、二人は速攻で平謝りをしたのは当然である。


環「それにしても驚きました。まさかそのような幼少時代だったとは………」

和泉子「私なんかとは全然違いますねぇ〜」

純一「いや。多分お前と一緒にはされたくないと思うぞ?」

和泉子「そ、そんなっ!?朝倉さん!それはあんまりですぅ〜………!」

キキョウ「けど、本当にびっくりよねぇ。ねぇ?その続きってないの?」

稟「おいキキョウ。そんな笑い話を聞いてる感覚で聞くなよ………」

シア「けど、ちょっと気になるっす」

ことり「それは私も一緒かもっ。刹那くんの幼少期はともかく、あの後はどうなったのか気になって仕方ないよぅ」


ズイっと、身を乗り出して凍夜に詰め寄るラバーズの皆様。

その真剣に笑い話やノロケ話があるのでは、という期待を込めた瞳で詰め寄ってくる彼女達に、凍夜は大きくため息を零した。


そして思う。



―俺達は、どうやら恵まれているようだな―



と。

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