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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
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暫くしても、メリアはライガのことを放そうとはしなかった。

その理由はやはり先程と変わらずさっぱりで、疑問だけがライガに募る。

いつまでこの状況が続くのであろうかと、心の中でため息を何度目か零したときだった。



“ゴト……っ”



なにかが床に落ちる音が聞こえてきたのでそちらのほうに視線を移すと、


ルン「……………ライガ」


そこには、何ともタイミングの悪いところで現れた婚約者の姿があった。

瞳には若干の涙を浮かべている。


これは不味い、と本能が泣き叫んでいた。

このままでは自分は恐らくバッドエンド直行で、わけもわからない虎の師範代にロリ悪魔っ子のブルマ少女がいる非常識を通り越した道場へと追いやられる、と。


ライガ「……えっと、そのさ………これには、ちょっと訳がありましてですね?」

何故か後半は敬語になってしまうライガ。

彼は本能的に察していた。

このままいけばまた要らぬ誤解を招くと。


ルン「……………で、でも…私が抱きつこうとすると、ライガ逃げるのに………メリアさんが抱きついてきても、嫌がらないんだね………」

ルンの瞳にさらに涙が溜まる。

ライガ「い、いや……!だからこれは事故と言いますか、成り行きと言いますか、自分の凡ミスと言いますか………」

しどろもどろに言い訳を吐いていくライガ。

その姿は必至そのものなのだが、未だにメリアに抱きしめられている絵図なため、説得力は欠片もない。


ルン「ヒドイよ、ライガ…………。私であんなことやこんなこと、挙句の果てには既成事実まで作っておいてっ。他人に言えないようなことまで私にしておいて、その上でメリアさんのような大人で美人でスタイルのいい人に甘えるだなんて、ひど過ぎるよっ!」

ライガ「ええええええええええええええええええっ!!!!??俺そんなことした覚え全っ然ないんですけどぉっ!?なにっ!?既成事実って!いつしたのそんなことっ!?」

ルン「う、うぅ………ライガのバカぁぁぁぁっっ!!!!ライガなんて、父さんや刹那さんにグーパンチされて怒られればいいんだよ……っ!!」

有りもしないことを赤裸々に告白したルンは、泣きじゃくりながらその場を高速魔法を駆使して去って行ってしまった。


そんなルンがいなくなった場所を、ライガは放心状態で眺めているだけ。

そして一言、


ライガ「神様………俺、なにかいけないことでもしましたか?」


そう、あまり頼りにならない神様(神王)に向けて、涙ながらの言葉を口にした。















――――――さて、その後このことが凍夜(親バカ)にバレてしまい……



こんな現状になっていたりする。


刹那「事情はメリアから聞いたけど、男ならちゃんとその辺りは制御しときなさい」

ライガ「俺、なにもしてないんだけど………」

メリア「けど、お母さんに抱きついてくれたのは事実ですよね?」

ライガ「抱きついちゃったことは仕方のないことだけど、あれは事故だよ事故。訓練の後だからクタクタだっただけで、よくある前方不注意…」

凍夜「さて、話はそのくらいにして。ライガ、ちょっと勉強部屋に来い。“お前だけ”今日の訓練の総まとめだ」

どす黒いオーラを立ちこめながら、にこやかにほほ笑んだ凍夜がライガの肩を掴む。

若干力を入れて、だが。


ライガ「ええっ!?と、凍夜さん、目が笑ってませんよ?それに声も若干トーンが低い…………ですよね?」

凍夜「問答は無用だ。なに、手加減はしてやる“つもり”だから安心しろ」

ライガ「いえ、ですが…………ね?」

瑠璃「いいじゃないの。私も付き合ってあげるわ♪息子というよりは弟に近いあんたに、私も少なからず協力してあげるからっ♪」

ライガ「瑠璃さんっ!?一体いつからそこにっ!?」

瑠璃「そんなのはどうでもいいでしょ?ほら、お姉さんが可愛がってあげるから、さっさと支度してきなさい♪」

ライガの言い分なと聞くはずのない瑠璃は、妖艶に微笑みながらまだ傷モノにもなっていない少年にそっと微笑む。

その姿は、まさにどこぞの女王様風だったりする。


ライガ「ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!?」

流石にこれだけの殺気と覇気を出されればライガの背中に戦慄が駆け巡る道理だ。

刹那「ライガ、悪いけど今回は無意識下での事故でもルンを泣かせた時点でお前が悪い。だから、今回の反省も込めて、あの二人のしごきを耐え抜いてこい」

そんなライガを優しくあやすように宥める父、刹那。

そんな言葉より助けを請う息子を助けてやらないのは親心なのか、それとも別の思惑があるのか。

ライガ「父さんっ!?そんなことよりも、助けてよっ!?」

刹那「耐え抜いてきたら、ルンと二人っきりにさせてやるよ。その際に、傷の手当てとかしてもらいながらイチャイチャしてしまえ、我が息子よっ!!」

サムズアップしながらトドメと言わんばかりのセリフを吐く刹那。

どうやら、彼は自分の状況を的確に理解していないらしい。

ライガ「…………う。わかった」

ルンの名前が挙がった途端、大人しくなるライガ。

惚れた弱みという奴だろうか。

何処となくそのときの様子を想像して頬を赤く染める辺り初(うぶ)な性格である。



そして、約五時間にも及ぶ地獄の補習は、ライガが見事耐え抜く結果として終わったのであった。



その後の展開は、刹那やメリアに匹敵するほどの甘ったるい展開で、且つ初々しい限りの空間だったことは、言わずともである。

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あきゅろす。
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