D.C.S.B.〜永劫の絆〜 PageB 香恋「そういえば、ライガ達の訓練はどうしたのよ?」 ふと、香恋がそんなことを凍夜に聞いてくる。 そう。彼女の言っている通り、今彼は地下勉強部屋でライガ達の訓練を行っているはずなのだが。 凍夜「ああ。今日の訓練は少しだけ早めに切り上げて、あとはフェイトやなのはに頼んできただけのことだ」 事も無げにさらりと返す。 はやて「せやかて、凍夜くんの訓練時間、まだ三十分しか経ってへんよ?」 凍夜「その腕時計、止まってるんじゃないのか?それに、俺の訓練時間は一時間だ」 瑠璃「ってことは、半分の時間だけしか指導しなかったってわけね」 凍夜の言葉を聞いて、納得の表情をする三人。 それにしても、この三人の組み合わせは案外珍しいのかもしれない。 一つ、瑠璃と香恋の組み合わせならばそれなりに見てはいる。 一つ、この二人に加わる人物は大抵そういう属性を持った人物であるということ。 この二つを踏まえれば、はやてがこの二人といることは珍しい。 凍夜「しかし、珍しい組み合わせだな?お前達三人だけで行動するなど」 なにか共通点でもあっただろうか?という感じで話を振ってみる凍夜。 その質問に、はやてがいち早く口を開く。 はやて「まあ、大したことやあらへんから、別に一緒にいても問題にはならんやろ?」 凍夜「問題になるのか?その組み合わせは……………」 少し呆れも含んだため息を吐く。 瑠璃「ならないと思うわね」 香恋「ならないはず…………」 そんな彼の言葉に、自信がないのか恐る恐る答える二人。 こういう言い方をする人物に限って、揃えばそれだけ厄介になるのは必須である。 凍夜「………はぁ〜、まあ、別にこれと言って問題はないだろうから俺はなにも言わんが、」 瑠璃「なに?」 凍夜「ほかの奴からすれば、なにか企てているのではないのかと思われるかもしれないから、そこら辺は注意に越したことはない」 はやて「企てるって………私らってそんな感じで周りから見られてるんか…?」 凍夜「見た目で判断する奴はいないだろうが、大体は“中身”を知っているからな。そっちで判断されることがある、と思うぞ?」 香恋「私たちがなにしたっていうのよ?」 凍夜「俺に喰ってかかられても知らんもんは知らん。あとで刹那やメリア達にでも聞いてみればいい。メリアはともかく、刹那の場合すんなりと答えそうだが、な」 香恋&はやて『ほほぅ…………それは楽しみだわ(やなぁ)♪』 凍夜の言葉に、不敵な笑みを浮かべる二人。 そんな彼女達を見て、「そんな顔をしているからだと、今更ながらに思った」、と心中で呟いたそうな。 ―――――― ―――― ―― 〜柊邸・地下勉強部屋〜 飛来する魔力の嵐。 そんな嵐の中を、三人の少年少女達が一生懸命になって走っていた。 なのは「ほらほらー、気を抜くと当たっちゃうからねぇー」 大声で彼らに叫ぶなのは。 その姿は、まさに二つ名の通り、『管理局の白い悪魔』そのものであった。 ライガ「うひゃあああああああああああああああああっ!!!!!!!!」 飛来する魔力弾の嵐を避ける避ける、そして避けまくるっ! だが、避けているときの顔は必死そのもの。 まるで某ハンティングゲームで初心者が上位レベルのモンスターから必死になって逃げているような様である。 ルン「ライガっ!」 情けない恰好で避ける未来の旦那?を見ていられなくなったのか、移動系魔法で一気にライガとの距離を詰め、ライガの首根っこを掴んで即その場から離脱する。 そして、ルンがライガを引っ張っていなくなった場所には、容赦の“よ”の字も感じさせないほどの魔力弾が注ぎ込まれていたりする。 なのは「ほら〜、あと10分!頑張って頑張って〜♪」 さて、一方で魔力弾の嵐を打ち続けている彼女、高町なのはの表情はまさに素敵な笑顔。 そこには一片の曇りなどない快晴の眩しすぎる笑顔が現れていた。 だが、それだけに別の意味で恐ろしさを感じずにはいられないのが、ライガ達の現状だったりする。 藍「ヴァルキュリア、あの魔力弾のほんの一部でも相殺できない?」 ヴァルキュリア≪難しいですが、方法はあります。それでもやりますか?master≫ 藍「うん。それも訓練の内だと思うからっ」 ヴァルキュリア≪わかりました。では、貴女の脳に直接その説明を送ります。理解できたら、言ってください≫ ヴァルキュリアに言われてから、すっと目を閉じる。 その瞬間、ヴァルキュリアの考えた計画(プラン)が脳に送り込まれてきた。 藍「(カートリッジを一発ロードしてから、そのまま誘導弾で迎撃、か)……了解っ!いいよ、ヴァルキュリアっ!!」 ヴァルキュリア≪All light.Lord cartridge≫ 機械気質な声が響き、ヴァルキュリアからカラとなった薬莢が一つ飛び出し宙を舞う。 その瞬間、藍の周りに計16もの魔力弾が高速で形成されていく。 ヴァルキュリア≪Master!≫ 藍「うんっ!スラストシューター、シューーっトッ!!」 ヴァルキュリアの掛け声とともに藍の周りにある魔力弾が迫りくる魔力弾に向かって飛んでいく。 双方は激しいぶつかり合いを行いながらも、互いに相殺し合い、消滅していった。 ライガ「………あれ?なのはさんの追尾型の誘導弾が追ってこなくなったね」 ルン「あ、藍がなんとか“それだけを狙って”撃ち落としてくれたみたいだよ」 ライガ「……………なんだか、藍って何気に強いよね」 ルン「クスッ。そうだねっ♪」 悔しそうに言っているライガに対し、ルンは誇らしげにそう言った。 さて、これからもう少しだけこの悪夢のような訓練が続いたのだが、そのときのライガやルン、そして藍はボロボロのグロッキーとなっていたとかなんとか。 そして「あのときの凍夜さんの訓練が半分ほど短縮されて助かったよ…………」っと、後にライガは遠い目をしながら語ったそうな。 [Back][Next] [戻る] |