D.C.S.B.〜永劫の絆〜
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創「…………かぁーっ。途方もない威力だな今のは……」
その場にいる全員(稟以外)が思っていたことを、まるで代弁するかのように口にする創。
あの凍夜や悠でさえ目を見張るほどの威力なのだ。驚くもの無理はない。
そしてなにより、一番驚いているのは稟自身だった。
まさか自分の最も最強と呼ぶに相応しいはずの技の威力があそこまでのモノとは思ってもみなかったためである。
だが、あれで驚いていてはこれ以上の数の軍勢を出現させたときの驚きなどもはや見当もつかないだろう。
それだけ今の稟は成長しているのである。
無論、それは純一も同様だ。
彼自身気づいてはいないだろうが、実は先程の攻撃の際、創はわざと半分の力で技を放っている。
それは何故か?
理由は至極簡単なものだ。
今の純一の実力を、彼自身に身を以って知ってもらうためである。
戦いでなければ自分がどれほど成長しているのかなどわかるはずもない。
それ故の行動だったのだが、純一自身はそのことに気づいておらず、自分の一撃の大きさにも気付いていないためあまり効果はなかったと言えよう。
稟が夕凪を担ぎ、再び空に上がったときと同時に、煙の中からヤトノカミが再び姿を現す。
ヤトノカミ「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――――――――――――――――――――――――――――――――――――っっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
“無限雷獄――――――”
煙の中から姿を出したかと思うと、間髪入れず稲妻の嵐を刹那達に見舞う。
空より降り注ぐ稲妻の雨は情け容赦なく標的を穿とうと手当たり辺り一帯にその音と衝撃を撒き散らす。
その攻撃を、刹那達は紙一重のところで次々と躱していく。
手当たり次第に降り注いでいる雷の豪雨は一見回避不可能のように見えてその実単調で落ちてくる場所さえ解ってしまえば躱すのは容易かった。
最初は回避するのに手間取っていた稟や純一でさえも、少し経って落ちてくるパターンを認識したら容易に躱しているのだ。
これではまさに無駄骨と言ってもいいだろう。
だが、避けることが容易でもその一撃一撃の威力の大きさは変わることはない。
故に、一瞬でも気を抜いて攻撃を喰らえば即死に繋がる攻防なのだ。
それだけに無駄に気は抜けない。
暫くその気の抜けない攻防が続いたが、それも漸く治まった。
だが、ヤトノカミに動きはない。
こちらの出方を窺っているのか、それともただその場に留まっているのか、どちらとも取れる状態故に、こちらではその行動を読み取ることはできない。
暫くの間、静寂が辺りを包み込む。
時折吹き抜ける風の音以外、誰も動くこともなく、ただじっと相手の出方を窺っているのみ。
稟や純一だけでなく、創や凍夜、そして悠や刹那にも全身の毛穴という孔から汗が滲み、そして肌を伝っていく。
誰かが飲み込む唾の音でさえ、それは鮮明に聞きとれるほど周囲は静寂と化している。
そして、誰もがこの後の最悪の事態を予想していた矢先である。
再びヤトノカミが侵攻を開始した。
全員がそのことに気付き、もう一度総攻撃を始める。
容赦など一切ない猛攻の嵐。
これを幾度として浴びせられているヤトノカミは、文字通り化け物と呼ぶに相応しいだろう。
これまでの戦いで、これほどの攻撃を受けた者のいなければ、それに耐えた者もいない。
それだけに刹那達の焦燥は募るばかり。
止めようと攻撃しているのに、相手はそれを気にも留めていない様子で歩を進める。
これは足止めということにはならない。
それどころか、ただ悪戯に攻撃をしているだけの消耗戦と同じだ。
向こうが攻撃を放ったのは指で数えるほどの本当に微々たるもの。
だが、こちらはそれ以上の数と威力を呆れるほど放っている。
それでもこの邪神にとって致命的な一撃を入れることは出来なかった。
もしも仮にこの邪神が移動することがなければ刹那達はゆるりと潰して征こうという考えの下戦っていただろう。
だが、そうではなく全てを破壊せんと進んでいるから故に焦りが生じ、攻撃にも自然と力が入ってしまう。
その結果、自分達にとって消耗戦と化してしまっているのだ。
だが、刹那達にとってそれは無意識での戦いであり、それ以上に護りたい者のために戦っている。
『愛は無限の力を生み出すことが出来る』とよく言うが、今の刹那達の戦いはまさにそれと同じと言ってもいいだろう。
いくら消費して疲労しようとも、愛する者達のために死力の尽くしているのだ。
そんなモノ、いくらでもくれてやろうという気持ちなのであろう。
例え限界が来ようとも、彼らは最後まで諦めず戦うはずだ。
それだけ、今のこの戦闘は意味のあるものなのだから。
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