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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
Page33
初音島の近海。そこでは最後の防衛線の如き猛攻が繰り広げられていた。


刹那「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

斬魄刀に収束した霊力を刃に乗せ、そして繰り出す。

繰り出された刃は氷刃と化し爆ぜることなく辺り一帯を凍結していく。


凍夜「おぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

刹那と入れ替わりのように今度は凍夜が斬撃を繰り出す。

刹那とは違い、凍夜から放たれる斬撃は漆黒の焔(ほむら)を宿しながらこの黒き体を焼き尽くさんと大きく爆ぜ、そして巨大な火柱を立てて天を黒く焦がす。


悠「全く、これだけの攻撃を受けて諸共しないなんて……………これは凍夜以上に厄介だったか…なっ!!!!」

軽口を叩きつつも二つの刃から繰り出される風刃。

放たれる風刃は巨大な竜巻を起こしながら火柱へと侵入しそれに呑み込まれても尚、その刃で切り刻まんと周囲にその余波を漏らす。



創「ははっ。なんだかヤトノカミが気の毒に思えてきた…………」

三人の攻撃の凄まじさを改めて目の当たりにした創は、本当にそう思いながら斬魄刀を構え直す。

純一「その意見には、俺も同感だな………」

創の独り言を聞いていたのか、純一も創と同じような表情を浮かばせながら斬魄刀を構え直す。

どうやら、創と同時に攻撃を仕掛けるつもりらしい。

だが、純一のこの判断は正しい。

自分一人の攻撃は微々たるものだが、同じ系統を持つ者と同時に放つと、それは何倍もの威力(チカラ)を持って繰り出すことが出来るからである。


創「さて、遅れるなよ?純一」

純一「そっちこそ」

互いににやっと笑いあうと同時に灼熱の鳳凰と妖弧が炎を帯びて形を象り疾走する。

二人から繰り出され、疾走する二つの炎は互いに反対の方向から未だに火柱と竜巻に囲まれているヤトノカミに向け、激突する。


激突した二つの獣は先に包んでいた囲いを最大限の状態で吹き飛ばし、夥しいほどの威力を以って爆ぜた。

二つの灼熱が激突した衝撃で辺り一帯に火の粉が舞う。

しかし、それは誰かに燃え移るということはない。


そこに、追い打ちをかけるように稟が大きく跳び、ヤトノカミの上空に移動する。


それが合図となったのか、近くにいる者は全員その場から一旦離れる。

それを確認した稟は、大きく夕凪を振り回すと周りの空気や霊子が次第に圧縮されていく。


圧縮されていく空気や霊子は次第に一つの形を保ち始める。

それは、槍の軍勢とも呼ぶべきモノだった。

次第に展開されていく幾つもの槍。

その全ての矛先は眼下にある一つの異形に定められている。


振り回していた夕凪をピタリと止め、そして大きく投擲の構えを取る。


稟「―――――神魔鎗爛っ!!!!!!!!」


夕凪を大きく投擲する。

それに呼応するかのように、稟が周囲の空気と霊子から創りだし展開していた槍の軍勢もまた、ヤトノカミに向け降り注ぐ。


降り注いだ槍の軍勢は未だに煙に囚われ、周囲の状況を確認できないヤトノカミに容赦なく突き刺さる。

そして最後に巨大な矛と化した夕凪がその肢体を貫こうと唸り、凄まじい衝撃を生み出しながらヤトノカミのさらに下にある海へと飛来する。


夕凪が海の表面に触れた瞬間、海は瞬時に孔を空け、そして割れた。



その途方もない威力は、恐らく一般の死神でなくとも圧巻であっただろう。

その証拠に、刹那達も顔を引きつらせながら稟を見ている。


そんな刹那達を気にする様子もなく、稟は自分の相棒を取りに、未だに地に刺さり、モーゼの十戒の如く割れている海に降りるのだった。

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