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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
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浦原「先にこれだけは言っておきましょう。今アタシ達やあなた方がいるこの初音島、実は本物のようで偽物なんス」

浦原のこの一言に、その場にいる者達全員の顔が一気に強張る。

中には信じられず、楓のように気絶してしまう者もいた。


メリア「どう、いうことですか?私たちのいるこの初音島が、偽物って………」

浦原「ああっと、誤解の招くような言い方でしたね今のは。もう少し詳しくお話しすると、今皆さんがいらっしゃる初音島は、初音島の複製、コピーなんスよ」

士郎「複製!?この島全部がかっ?!」

浦原「ええ。とは言っても、全てではありません。あまり時間がなかったものですからね。複製を作ることが出来たのは丁度この辺りから反対側、そして大体、そうですね、冬木市や光陽町辺り全体が複製だと思ってもらっても構いません」

凛「はぁっ?!ふ、冬木市全体が複製ですってっ!?あ、あなた一体なに考えてんのよっ!?」

浦原「だぁいじょ〜ぶっスよぉ♪本物はちゃ〜んと存在してますからっ♪」

浦原のあっけからんとした言い方に、その場にいる者全員が開いた口が塞がらない。


浦原「邪神が復活した今、アレと満足に戦える場所が必要かと思いましてね。急造でしたけどなんとか間に合ったと言うわけっスよ」

桜(S)「け、けど本物の光陽町や冬木市はっ!?それに、街のみんなはどうしたのっ!?」

誰もが考えていた疑問を桜(S)が代弁するかのように口にする。

浦原「本物の光陽町や冬木市は、尸魂界に転送しました。街の皆さんは、眠らせて安全な場所へ移送していますので、ご安心ください。それから……」

「店長、そろそろ……」

桜(S)からの質問に、丁寧に一つ一つ答えていく浦原に後ろから一人の男が声をかける。

どうやら、時間がないとのこと。

浦原「わかりました。それじゃ、テッサイはここで夜一さんの到着を待ってください。あと、この『転界結柱』を包むための結界の維持も兼ねて………お願いしますね?」

浦原に声をかけた男、“握菱鉄裁(つかびしテッサイ)”は一言だけ言って頷くとその場から立ち去る。

浦原「やれやれ………どうやらもう時間はないみたいっスね…すみませんねぇ。どうやら詳しく説明していられそうもないみたいっス」

一刻の猶予もないことを知った浦原は肩を竦めながら一言だけ詫びると、その場を立ち去った。



キキョウ「な、なんなのよ?あの変なゲタ帽子……」

ツボミ「そ、それに私たちの街を偽物のと入れ替えちゃったって言ってましたよね………」

セイバー「一目見てもその違いはないようですが…………これがあの男の力、ということなのでしょうか?」

桜(F)「魔術師ではないと思いますけど、まさかここまで精巧なものが作れるなんて………」

浦原が立ち去ってからというもの、自分達のいるこの場所の精巧さ、精密さを見て関心や驚きの声を個々に上げる。

そう。彼女達が言う通り、この場所にあるもの全て元々あったものと見比べても全く違いがないのだ。

驚くのも無理はないというものである。


なのは「でも一つだけ気になることがあるんだよねぇ……」

フェイト「気になること?」

なのは「あの人は、メリアちゃんと同じ世界の出身じゃないの?」

なのはのこの一言に、周りの者達が首を傾げる。

なのは「あの浦原さんって人は、確か、そうるそさえてぃってところに、この街を転送して、偽物をここに置いたって言ってたよね?」

はやて「そやね。でも、それが一体……」

凛「多分、高町さんが言いたいことは、世界の名前なんじゃないの?メリアさんは霊界、あの浦原って男は尸魂界。ほら、なにか変じゃない?」

はやて「ああ。そういえばそやね。なんで霊界やのうてその尸魂界って場所に転送したんやろ?」

メリア「それは恐らく、尸魂界でなければ転送出来ないからですよ。先程浦原さんが言っていた“転界結柱”。あれは、今から十年前に一度使用されているんですよ」

なのはから始まった疑問の答えをメリアが順を追って説明する。

シア「十年前?なにかあったの?」

メリア「私も直接聞いたわけではないですから、よく覚えていないんですが、なんでも、護廷十三隊の隊長が三人ほど離反した事件があったそうです」

ネリネ「離反、ということは裏切り、ということですね。でも何故?」

メリア「なんでも、その事件の元凶になったモノを巡って争いが起きたそうなんです。離反したうちの一人の男がリーダー格となって虚達を従え、そしてその虚達よりも上の存在を纏めた軍団をも従えていたとか……」

そのときの記憶が曖昧なのか、あまり覚えていないといった感じで話していくメリア。

そのときの記録は、ほとんどなく。あったとしても極秘裏に管理されているとのことだった。

士郎「戦争………か」

メリア「戦争、という言葉が合うかどうかはわかりませんけど、それだけ熾烈を極めていたという話です」

愛香「その戦いに、刹那くんたちも放り出されたのかな…………」

メリアからの話を聞いて、愛香は少しだけ不安な面持ちで唇を噛み締める。

メリア「大丈夫ですよ。その戦いは今からおよそ十年前の出来事ですし、第一、その頃はまだ私も刹那様と出会っていませんから……」

士郎「十年前…………か」

楓「そういえば、十年前に開門が開かれる直前でしたよね?冬木で大きな大火災があったのって……」

士郎「………っ、ああ」

楓の言葉に、士郎の顔が一気に強張る。

そんな士郎を見て、楓は自分が失言を吐いたことに気付き、オロオロしている。

凛「ああ、気にしなくてもいいわよ芙蓉さん。こいつ、たまにあのときのこと思い出すとこんな感じになるから………」

オロオロする楓をとりあえず落ち着けようと思った凛は、楓にフォローのようなモノを投げかける。

しかし、これがあまり意味のないものということがすぐにわかってしまう。

その理由は、楓がしきりに士郎に謝っているからだ。

士郎は士郎で失言を吐いてしまった楓に気づいていなかったのか、謝られる謂れが思いつかなかったため、少しだけ困った顔をしながら楓を静めていたりする。

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あきゅろす。
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