D.C.S.B.〜永劫の絆〜
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刹那達の健闘も空しく、ヤトノカミが初音島に迫っていたときだった。
その男達は現れた。
亜麻「えぇっと、どちら様ですか?」
自分達の目の前にいる人物、下駄に帽子を被った男を、亜麻は訝しげな表情で見据える。
そして、ほかの者達も同様に目の前にいる人物達に視線を走らせる。
帽子を深々と被った男、“浦原喜助”はなにも言わずにその場に佇んでいる。
暫くの静寂が場を支配する。
だが、その静寂は、一人の少女の驚きの声とともに打ち消されることとなった。
メリア「………浦原、さん?どうしてここに?」
叶「リアちゃん………知ってるの?あのゲタ帽子の人……」
自分達の前にいる人物達のことを知っている口ぶりのメリアに、叶が問う。
メリア「こ、この方はかつて霊界とはまた別の空間に存在する言わばもう一つの霊界、『尸魂界』で護廷十三隊と言われる組織の十二番隊隊長を務めていた御方です。名を、“浦原喜助”………」
さくら「うにゃっ!?こ、この人があの浦原喜助さんっ!?」
音夢「えっ?な、なに?さくらちゃん……知ってるの?」
さくら「うん……とは言ってもそんな詳しくは知らないんだけど……確か、お祖母ちゃんの知り合いだったかな?」
音夢「ええっ!?カレンお祖母ちゃんのっ!?」
浦原「ありゃ?もしかして、芳乃サンとこのお孫さんでしたか………こりゃあ失礼」
メリア「それで、浦原さん。何故あなたがこのようなところに?」
驚いている音夢達をとりあえず置いておき、メリアは本題に入る。
何故彼らがこの場所にいるのかということを。
浦原「空、暗いっスよねぇ」
メリア「ええ。天候が崩れたんじゃないのかと………」
浦原「あははっ!なにを言ってるんスか。これは天候が悪いとか、そんな生易しいもんじゃあない。“邪神”の復活、そうですよね?」
メリア「っ!?」
突然確信を突いてきたことに、メリアの顔が少し強張る。
浦原はそんなメリアの反応を肯定と取ったのか、浦原はそのまま話を続ける。
浦原「アタシは、さっきも言ったようにお手伝いに来たんですよ。皆さんのねっ♪」
香恋「私たちの手伝い?どう見ても、アンタ戦えなさそうに見えるけど………?」
「あぁんっ!?なんだとコラぁっ!!」
香恋の物言いに、尖がった赤髪とTシャツに『浦原商店』と書かれた服が特徴的な少年が喰ってかかる。
浦原「まあまあ、ジンタ。夏季サン、と言いましたね?」
香恋「そうよ?」
浦原「確かにアタシのこの恰好からはそうは見えないかもしれない。ですがね、あまり人を見かけで判断しちゃうと、後々痛い目を見ますよん♪」
苛立つジンタを抑え、扇子を煽ぎながら浦原はお茶らけた様子でそう言った。
ライガ「けど、俺から見ても母さんの言うようなすごい人にはとても見えないんですけど……………」
浦原「母さん……?彼は、誰かの御子さんスか?」
メリア「あ、私と刹那様の子です。養子ですけど……っ」
浦原「へぇ、これはまた刹那サンに似た人っすねぇ」
ライガ「えっ?」
浦原の言ったことに、ライガは自分の耳を疑った。
自分と刹那が似ている?何処が似ているのだろうか。
そう思わずにはいられなかった。
それと同時に、気にもなった。
何処が自分と刹那が似ているのだろうか、ということに。
浦原「まあ、今はこんなことに時間を割いていられる状況じゃないっスね。簡潔にお話しします。よく聞いていてくださいね?」
とりあえず話を一区切りすると、浦原は改めて自分達がここに来た理由を彼女達に“簡潔”に話し始めた。
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