D.C.S.B.〜永劫の絆〜
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純一「おいおいおい………」
諒「………うわぁ」
士郎「出鱈目だ……」
稟「島が……一瞬で…………」
ヤトノカミが放った一撃の威力の大きさを目の当たりにして、四人の背中に嫌な汗が滲む。
悠「すごいなぁ。まさか一撃であの島全部を跡形もなく吹き飛ばすなんて……」
サクヤ「………やはり、成長していたんですね」
稟達とは違い、悠は少しだけ困ったように頬を掻き、そしてサクヤは自分が考えていたことが確信に変わったことに愕然としていた。
刹那「にしても、なんでお前らは俺にがっちりとしがみついてるんだよ……………」
香恋「だ、だってこうしないと落ちちゃうじゃないっ!?」
ライガ「俺は、空飛べないし。それに父さんが急に抱え込むからその勢いに釣られて……………」
刹那が呆れながら自分にしがみついている人物達を見据えると、香恋は恥ずかしそうに顔を真っ赤に紅潮させ、ライガは少しだけ困ったように頭を掻いた。
凍夜「さて、これで足場がない奴らには不利な状況、つまり俺達にとっても不利な状況だが……………お前ならどうする、創?」
創「って言われてもなぁ。俺はともかく、お前や刹那が“虚化”してくれればすぐに済むと思うんだけど、どうだ?」
凍夜「あれは最終手段だ。おいそれと使うわけにはいかない」
創「だよなぁ………俺が卍解してもこの状況はあんまり変わるとも思えないんだけど………」
凍夜「だが、主力がないのとあるのとでは大きく違う。使える主力があるのなら、使ってもらわねば戦いには勝てん」
創「かぁぁ!相変わらずキツイこと言うなこの隊長は……!」
凍夜との作戦会議をしていた創だが、凍夜考えに思わず笑ってしまう。
そんな創を見て、凍夜は少しだけ不機嫌になるのはご愛嬌。
その後すぐに悠が収集をかけ、ヤトノカミに対する対策を練り始める。
悠「さてと。俺達のしなきゃならないことはあのふざけた神様を今ここでぶち殺さなきゃならないこと。そこで、男全員、と言ってもライガ抜きであのヤトノカミを此処で抑える。その内にライガと女性のお二方は初音島に音速を超える速さで向かって、今の現状を王様達に報告。ああ。なにもしてなかったら、迷わず冥土に送ってあげてね♪さて、みんなはこの意見になにか異論はある?」
顔はにこやかなのだが、何処かどす黒いオーラが滲み出ている彼の表情に、みんなは異論など言えるはずもなく、ただ頷くのだった。
ライガ「あ、あれ?でも香恋さん、俺と一緒で空飛べないんじゃ………?」
香恋「ああ、それなら平気よ。私、空中専用の宝具持ってるから」
稟「はぁあっ!?宝具って、そんなものまであるのかっ?!」
サクヤ「はい。とは言ってもごく稀にしか出てこない貴重な物なんですよ」
純一「さすがはアイドル。幸運ランク高いな………」
士郎「なんか、羨ましい…………」
諒「僕は……別に…………」
ほかの者達が香恋の持つ空中専用の宝具に羨望の眼差しを向けている中、香恋はさっさとその宝具を取りだす。
士郎「ん?でもちょっと待てよ…………三人が初音島に着くまでの間、俺達全員があいつを足止めするんだよな?」
刹那「ああ。悠の作戦だとそうなるけど………それがどうかしたのか?」
士郎「あ、いやな。空を飛べない奴が空中にいるのって、かえって足手纏いにならないかなって………」
空中に浮いていられない、または空中に足場を作れない者、それはつまり士郎と諒のことを指している。
そのことに気がついた士郎は自分もその“足手纏い”だということも頭に入れて、そのことを口にする。
そこでこの場にいる者達の約半分の顔が強張る。
いや、強張るというよりも凍りついた、といったほうが的確かもしれない。
そう。事実上、士郎と諒は足場を作るどころか浮くことすら適わない。
そんな彼らをこのまま担いだ状態であのヤトノカミを相手にするのはどう計算しても分が悪すぎる戦いだ。
だが、彼らにとってもこれ以上の戦力の分散は避けたい。
しかし、空中戦を得意としない二人には足場が必要不可欠となる。
が、彼らが足場とするに足りるほどの領地はこの大海原には何処にも見当たりはしない。
刹那「くそ。仕方ない。士郎と諒はライガ達と一緒に初音島に戻ってくれ」
これ以上考えても無駄だと悟った刹那達は、士郎と諒の二人に初音島に移動するように命じた。
士郎は最初は納得しなかったが、最後の最後でしぶしぶ頷き、諒は諒でさっさと行こうと勝手にサクヤに初音島に連れて行ってもらおうとしていたりする。
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