D.C.S.B.〜永劫の絆〜
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刹那「さあ、いくぜっ!!」
全員にそう声をかけると、斬魄刀を抜き取り、間髪入れずヤトノカミに突っ込む。
ヤトノカミに突っ込むまでの間に、氷が刹那を次第に包み込み、そして砕け散る。
そこには、卍解へと姿を変えた刹那の斬魄刀と、その卍解時の服装に身を包んだ刹那がヤトノカミに匹敵するほどの霊圧を発しながら君臨していた。
ほかの者達も刹那に続き、卍解や自分の最高の戦力でヤトノカミに突っ込んでいく。
そんな彼らに、ヤトノカミが気がついたのか、その巨体を驚くべき俊敏さを駆使し、刹那達を迎撃する。
刹那「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!!!」
島全体に響き渡るような雄叫びを上げながらヤトノカミの一本の首に攻撃を仕掛ける。
しかし、その攻撃はヤトノカミの持つ硬い鱗により完全に防がれてしまう。
刹那「ちィっ!?なんつー硬さだよっ!」
凍夜「退け刹那っ!!」
刹那「っ!」
鱗の硬さに正直ビビる刹那に後退の声を上げる凍夜。
その凍夜を見て、刹那は瞬時にその場から離れる。
凍夜「双牙……焔衝――――――!!!!」
技の名を告げるとともに凍夜の斬魄刀、『青凰天四聖神』から漆黒の焔がヤトノカミに向け、まるでクロスするかのような形で放たれる。
放たれた技はヤトノカミに直撃し、爆ぜ、煙を上げながらヤトノカミの姿を覆い隠した。
場に緊張が走る。
凍夜自身も技を放ってから余裕の表情をしていると思いきや、真剣な表情のまま固まってしまっている。
静まり返る場に、一つの風が吹く。
その風に煽られて、ヤトノカミを包んでいた煙が少しずつ晴れていく。
その光景を、全員が再び息を呑みながら凝視する。
凍夜「………チッ。まさか今の攻撃で無傷とはな。さすがは旧暦の時代に神として名を馳せたことはある」
煙が完全に晴れていない状態なのにもかかわらず凍夜が毒づく。
それは、自身の放った攻撃の結果を理解した者の発言だ。
そして、先程凍夜が毒づいた通り、ヤトノカミは未だ健在し、その姿を見せつけていた。
稟「嘘、だろ?あの凍夜が卍解して放った技だぞっ!?それでも傷一つつかないなんて………」
凍夜の技を受けて尚健在するヤトノカミに愕然とする稟。
しかし、それは彼だけでなく彼以外の者にも同じことを言えた。
創「(くそっ。まさか凍夜の攻撃をものともしないなんてな…………。どうする?アレを使うか?だが、ダメだ………あれは回数制限もあるし、同時に時間制限もある。あんまり連発して使えないから、慎重に使わねぇと……)」
創もまた、稟と同じく愕然とする一人だが、彼は別なことでも頭を悩ませていた。
それは、一部の者しか知らぬ異能(チカラ)のことを指している。
彼自身もそれを使うことを良しとせず、余り使いたくないのが現況でもあった。
だが、このとき早々に決断をしておけば彼自身、後々の面倒なときに使わなくても良かったかもしれないだろう。
が、今の彼にはそんなことを理解できることも知る由もなかった。
刹那「はっ!なら、これならどうだっ!!」
ヤトノカミから大きく退いて距離を置く。
そして、氷龍陣暁を大きく掲げた。
刹那「氷牙天衝っ!!!!!」
剣先から集束される氷の霊圧。
それは渦を巻き、剣と一体となり、そして刃そのものと化す。
刹那はその氷の刃を迷うことなくヤトノカミに向け放った。
巨大な氷の刃がヤトノカミを襲う。
直撃を受けたヤトノカミは多少後退しつつも踏み止まり、その場で軽く身震いをする。が、
ヤトノカミ「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――――――――!!!!!!!!!????」
直撃した刃は鱗にすら傷をつけられはしなかったが、次第にその刃を受けた個所が冷却され、浸食されていく。
香恋「………す、すごい」
ライガ「………これが、父さんの本気」
その光景を目の当たりにして、ライガや香恋は驚愕の声を上げ、唖然としていた。
今自分の間の前にいる人物といつも自分達と一緒にいる人物とがあまりにも一致しないからである。
そもそも、刹那の本気というモノを見たことのない香恋とライガの二人にとって、今の刹那はあまりにも強大な存在であろう。
刹那の攻撃により、次第に体中が凍りと化していくヤトノカミ。
しかし、この程度で倒れていては、“神”などという種類(カテゴリー)には数えられていないだろう。
ヤトノカミ「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――っっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
響き渡る咆哮。
砕け散る氷の音。
氷と化そうとしていた身体は、再びこの世に肉として存在する。
先程のことは、やはり束の間の出来事であった。
この光景を見て、刹那は苦々しい顔を浮かべながらヤトノカミを見据える。
すると、今まで攻撃の『こ』の字もなかったヤトノカミが口をそれぞれ大きく開いた。
――――――集束する炎獄。
その異様な霊圧を危険と察知した刹那達はなんの説明もなく自分の近くにいる者達、つまりは空を飛べない、浮かべない者達を担ぎ、その場から離脱する。
そして、
“獄炎流覇―――――――”
業火と呼ぶに相応しい集束砲が、『神魔島』に向け放たれた。
ヤトノカミから放たれた技は島に着弾すると、それはまるで映画などで見られるようなドーム状の爆発を引き起こしながら爆ぜた。
地獄の業火はそこに存在するモノ全てを薙ぎ払い、熔解し、燃やし尽くさんとその炎を奔らせる。
そして、全てが治まった頃、『島』というモノは跡形も残らなかった。
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