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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
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結界が解かれると、そこにはやや疲れたように汗を掻いている創の姿と、その近くで二つに分かれ、消滅寸前のヤトノカミ(分身体)の姿があった。


悠「彼を倒したか。さすがは元・零番隊副隊長の座にいただけのことはある」

創「それ、褒めてんのか?それとも皮肉か?」

悠「いやだなぁ♪褒めてるんだよ、これでも♪」

創「ま、そういうことにしときますか。悪いな稟、純一。二人の見せ場、全部取っちまった」

稟「あ……いや……それは構わないけど……」

純一「………やっぱり、すげぇな」

創に急に話しかけられ、あまりの出来事に唖然としていた二人は少しだけ対応が遅れながらも返事を返す。


その会話の最中、ヤトノカミ(分身体)の残骸は静かに消滅していった。


悠「さて、俺達は刹那達と合流しよう。香恋のことが気になるし、それにほかのことも気になるし」

悠の言葉に創達は頷き、刹那達の下へと向かった。







………………
…………
……







刹那「………………なん、だったんだ?さっきの異様な霊圧」

サクヤ「恐らく、分身体ではないでしょうか?あれほどの禍々しい濃度を有した者はほかにいませんから」

ライガ「そうですね。そう考えるのが妥当だと、俺も思います!」

香恋「まあ、ね。さて、あとは本体の破壊よね?」

凍夜「そうだな。しかし、そう易々と破壊させてくれるか、怪しいものだが………」

先程の霊圧はさておき、刹那達はヤトノカミの本体破壊を目標に行動しているのだが、その破壊方法やそれに伴う危険と迎撃を考えると、今の現状をどうにかするしかなかった。

『分身体』という脅威は消えたものの、まだ『本体』とそこから漏れ出し『個』を得た『敵』が存在する可能性もある。

それを考えると、不用意に破壊することは危険とみなし、結果王達の到着を待つことにした。



しかし、このとき彼らは気づいていなかった。

実は『分身体』が生きている、ということに。



悠「おーいっ。みんなー、無事だったかー?」

今後の方針を決めていた刹那達のところに、悠が創や稟達を連れてこちらに走ってくる。



刹那「そうか。悠じゃなくて創が倒したのか、『分身体』」

悠達から『分身体』との死闘を聞き、こちらも香恋との熾烈を極める戦いを話す。

創「つか、そんなに俺が勝つことが意外なのかよ?」

刹那も悠同様に意外そうな顔で納得するのに、創は不満そうな声を漏らす。

刹那「いやな……創の実力って俺と悠は知らないから……なんて言うか、実感が湧かなくてな」

不満気味な創に、刹那は気まずそうにそう答えるしかなかった。


稟「それで、今後どうするんだ?」

純一「もちろん、“邪神”の『本体』を破壊しに行くんだろ?」

刹那「いや、『本体』の破壊は魔王や神王のおっさん、霊王のじじい達が来てからだ」

諒「ふーん。その理由は?」

刹那「このまま破壊に持ち込んでもいいけど、それはどっちかって言うとデカイ賭けだ。なにがあるかわからないところに不用意に突っ込んでもただ危険なだけだろ?」

士郎「それは確かに正論だな。うん、納得」

刹那の考えに、士郎同様稟達も頷く。

やはり彼らも危険だと認知しているのだ。

故に強行手段、というモノは出来ればしたくない。


だが、ここで異変が起こった。


刹那「っ!?なんだっ!?“邪神の魂”が、ひか………」

突然輝き出す“邪神の魂”に驚く一同。

凍夜はそれを破壊しようと斬魄刀を抜き取り、振り上げる。


しかし、凍夜が振り上げた斬魄刀を振り下ろすよりも先に、“黒い影”が“邪神の魂”を奪い去った。


全員『っ!?』


その“黒い影”に全員が驚き、眼を開いた。


なんと、そこには先程創によって敗北し、消滅したはずのヤトノカミ(分身体)の姿があったからだ。

だが、その身体はところどころ透けており、身体の半分がない。


ヤトノカミ(分身体)「遂に、遂に取り戻したぞっ!吾が“八つ目”なる魂をっ!!!!」

自身の魂である“邪神の魂”を手にしたヤトノカミ(分身体)は高笑いしながらそれを高々と掲げる。


そこに間髪入れず全員が攻撃を開始する。

しかし、その行動は全てヤトノカミ(分身体)が“邪神の魂”を飲み込んだことにより無駄に終わるのだった。


ヤトノカミ(分身体)「これで、やっと、やっとこの忌々しい呪縛から解放されるっ!!この時を、何百年と待ち望んでいた!!殺し尽くしてくれようっ!!貴様ら人間をっ!!貴様らの全ての存在をなっ!!!!!」

そう叫んだヤトノカミ(分身体)姿が、突然消えるようにして消滅した。



稟「消えた……?」

サクヤ「いえ、違います………これはっ!」

創「…………“邪神・ヤトノカミ”の復活っ」


創の言葉に、全員が驚愕し、愕然とした。

そう、自分達は“邪神”復活を阻止できなかったからだ。

だが、落ち込んでいられるのも束の間、島全体がけたたましい音と地割れを起こしながら揺れ始めた。

それはまさに、創の言う通り“邪神”の復活を意味していた。

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あきゅろす。
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