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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
Page38
それから暫く海でのバカンスを堪能する刹那達。





刹那「それにしても、よくこんな島が誰にも見つからずにあったよな」

稟「それを言われると不思議なもんだよなぁ。普通なら誰かに見つかっててもいいのに」

キキョウ「もしかして、いわく付きの島だったりして♪」

シア「まっさか〜♪」

姉妹揃って笑い合っていると、

神王「いわく付きだぞ?この島はな」

神王のこの一言で場が凍りついた。


“どばきゃっ!!”


シア「ふふふ〜♪お父さんってば、懲りずにまたそんな嘘ついちゃってぇ〜♪」

キキョウ「いい加減にしないと、もう少し過激にしちゃうわよ〜?♪」

神王「う………嘘じゃ……ない………です……」


娘達のダブル椅子アタックをくらい、血をダクダクと流し地に伏している神界の王。


光景が痛々しいです、ホント。




稟「って、ちょっと待ってくださいよおじさん!俺の島、なにか危ないモノでもあるんですかっ!?」

魔王「そうだね。実を言うと、稟ちゃんのために買ったこの島は、大昔、私と神ちゃんが互いに王の座位に着く前の神界と魔界を治めていた当時の神王様と魔王様達が霊ちゃんの前の代である霊王様の三人が“とある神”を封じ込めた島なんだよ」

純一「“とある神”?それって、どんな神様だったんですか?」

樹「魔王様達によって封印されたんだから、悪さばっかりしてたんでしょ。その神様は」

魔王「うん。樹くんの言う通り、悪さ、という言葉で納まるならまだ可愛いものだよ。けど、その神はね、多くの人々を殺め、そして三世界を滅亡の危機に追いやろうとしていたんだよ」

全員『っ!!!!!???』

魔王の言葉に、その場にいた者達はそれぞれ驚きの表情を浮かべている。


刹那「それって、10年以上も前の話なんですか?」

魔王「そうらしいね」

ネリネ「らしい……とはどういう意味ですか?」

魔王「我々もその頃のことはよく知らないんだよ。その当時の資料もすでに無くなっており、そのことが本当にあったのかどうか、それ自体も全くわからずじまいなんだ。唯一わかったことと言えば、その神がこの島に封じられたという伝承のみ。みんなは、実際この島でバカンスを満喫してみて、何故この島が誰の手にも渡らないのか、という疑問は抱かなかったかい?」

稟「抱かなかったと言えば嘘になりますけど、普通はこんな場所にある島には誰も興味は…………」

魔王「そう。稟ちゃんの言う通り、この島は普通の人間ならば気にも留めない。それはこの島にある特殊な結界とそれから漏れる魔力によるものなんだよ。もしも我々の世界にある伝承が記す通りこの島にその神が封印されているなら、それを一般の人には知られてはいけないだろ?」

魔王様の言葉に、皆は納得したように頷く。


音夢「けど、この島に封印されているって言ってもやっぱりおかしいですよ。だって、『開門』があったのは今から10年前のことですし……」

魔王「そこなんだよね。音夢ちゃんの言う通り、我々のような他種族と稟ちゃん達のような人族が交り合えたのは10年前の『開門』があったからこそ。それ以前の交り合いや接触はあまり見られた例がない」

士郎「その当時のことを知っていそうな人物はいないんですか?」

魔王「残念ながら、その当時のことを知っている人物達は皆、遠くへ行ってしまってね。生死以前に居場所すらわからないんだ」

その一言に、場の雰囲気は暗くなったように重くなってしまった。




香恋「…………………サクヤ、あなたなにか知らない?」

サクヤ「いえ。私はそのことに関しては存じ上げておりません………」

香恋「サクヤでも知らないか………。私の家は誕生してからの退魔師の家系。なにか手掛かりがあると思ったんだけどなぁ……」

サクヤ「……………………………………そうですね」

香恋の残念そうな顔とは逆に、サクヤは何処か曇った表情を他人に悟られることなく浮かべていた。

しかし、そのサクヤの表情を陰ながら見ている人物が約数名いたことに、サクヤ自身は気づいていなかった。

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