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D.C.S.B.〜永劫の絆〜
Page24
ここは、枯れない桜からそう離れてはいない場所。


そこを疾走する影が一つあった。



凍夜「………この霊圧は、創かっ!?もう一つの巨大な霊圧は…………っ!?ふざけろ……!」

枯れない桜から周囲に漂っている霊圧を探り当てると、凍夜は険しい顔をしたまま速度を上げた。










創「―――ふっ!せぇああっ!!」

声とともに奔る刃。

速度はもはや人間が視認できるレベルを遥かに超えている。



邪神(分身体)「ぬん―――――っ!」


横薙ぎする刃を、邪神(分身体)は左腕の鱗で軽く受け止め、元々の勢いを殺さぬまま流す。


そして蛇の頭に変化させた右手を刃とし、上から一薙ぎする。



創「――――っ!」

上からくる攻撃を瞬歩を使い離れ、回避する。

そしてもう一度瞬歩を使い、相手の懐に潜り込む。



邪神(分身体)「………っ!?」

一瞬で間合いに入られ、下を向く。


それとまったく同時に、創は下段から斬り上げ、邪神(分身体)の体を斬り付ける。


その瞬間、鮮血が舞い、邪神(分身体)の体が僅かに後退する。






創「………こんなもんか?邪神さんよ」

未だに封印状態の斬魄刀を肩に担ぎ、物足りなそうに呟く。

そこには余裕という言葉が一番似合うのだろうが、創にとって、この邪神(分身体)が相手ではそんなモノなど無く、同時に侮りもない。

慎重に言葉を選びながら、相手の出方を窺っているのだ。

素人ならば、先程の攻撃のあと一気に畳み掛けるだろう。

しかし、創は素人とは一味も二味も違う。

あのまま一気に畳み掛けていれば、恐らく相手はそれ自体を好機と捉え、反撃された揚句この身は引き裂かれていただろう。

そう思うとゾッとする。

それに、彼の中にある不安の色は一向に色褪せてはいないのだ。


創「………(邪神の分身体。どれほどのモノかと思っていたが、実際戦ってみて実力は大体わかった。こいつはまだ成長段階における捨て駒のようなもの。こいつ“程度のレベル”で何処まで戦えるのか測定するのが狙いだろう。まったく、本体自体には自我がないと言うが、分身体にいらぬ自我が目覚めたな………)」

相手に余裕の表情を見せているが、内心邪神の力量が如何なるほどかさっぱりだった創にとって、実際剣を交えてその大体の力を把握できただけでもお釣りが来るほどだ。



邪神(分身体)は斬られた箇所に手を当てながら、ただ片膝をついて動かない。

本来ならここで止めを刺さなければいけないのだが、創はそれが出来ないでいた。


創「(………なんなんだよこいつっ!?倒すだけじゃダメだ。完全に殺さなくちゃいけないのにっ!なんでこの体はそれを実行に移してくれないんだよっ!!)」

相手は片膝をつき、未だに戦線に復帰する様子はない。

しかし、止めを刺そうとしても体は敵から何かを感じ取り、それを実行しようとはしない。

創の中で焦りは募る一方だった。


創「(そうだっ!サクヤは無事なのかっ!?)」

焦るが募る心境の中、創は自身が助けた女性の安否を確認するため、少しだけ邪神(分身体)から視線を外す。


サクヤに視線を移すと、サクヤは治癒魔法なるモノを使い、自身の体の修復に努めていた。

それを見て安堵する創。

しかし、この僅かな隙が創にとって命取りとなった。



創「――――――ごふっ………」

突然自分の腹部に走る痛み。そして吐血。

突如として舞う鮮血。

痛みに耐えながら目を僅かに下にずらすと、自分の腹の辺りから血に染まった霊子刃が衝き出ていた。



邪神(分身体)「…………………僅かな隙が、命取りになるぞ―――小僧」

創の後ろから響く邪神(分身体)の声。


サクヤの身を案じてほんの少しの間、邪神(分身体)から目を逸らした結果、創は後ろから刺されたのだ。


創「て……めえ、不意打ちとか……アリ…かよ………」

喋る度に口の中に鉄の味が広がる。

創はそんなモノは気にも留めずに喋る。



邪神(分身体)「……星乃、と言ったか。吾が身相手にあれだけの死闘を演じたことに敬意を表しよう。この命、吾が貰ってやる。光栄に思うがいい」

創「…はっ。誰がテメエみたいな奴に俺の命くれてやるかよ。それに勘違いしてないか?死神って奴はな………」

段々と、創の周りに霊圧が収束し始める。

創「テメエの霊力のデカさでテメエの命決まるんだよっ!」

そして、邪神(分身体)を吹き飛ばすほどの霊圧を放出した。


邪神(分身体)「ぐぬぅ……っ!?」

創から発せられる霊圧に押され、やや後退する邪神(分身体)。


創「―――いい機会だ。俺の名前と一緒に、刀の名前も覚えていくといい」

口元を吊り上げながら、自身の斬魄刀を独特の構えで構える。


創「―――空を翔け、君臨せよ。『鳳凰』」

創がそう口にした瞬間、手に持っていた斬魄刀は刀身を刀から片刃の大剣へと形状を変化させ、剣の峰部分からは翼を模した羽が生えていた。

それはまさに、『鳳凰の翼』と呼ぶに相応しい姿だった。

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