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短編小説
クラヤミ ベル/暗
たとえば

この世界に私とあなたの二人しかいなくて

たとえば

この世界に光なんてなくて真っ暗だったなら


私は、あなたを愛せただろうか

『クラヤミ』


「ベル…あんた、何を…」

私の目の前にあるのは、ベルの双子の兄であるジルの冷たくなった体。

「ゴキブリと間違った」
「そ……な…」

鼻をつく、なれない血の臭いに、吐き気がした。

「うそ…、ねぇ、ジル?」

膝を床について、ジルの体を揺する。

「ジル!ラジエル!!」

必死に名前を叫んでも、
どれだけ体を揺すっても、
ジルが動くことはなかった。

「やだ、ねぇ、起きてよ!!」

目の前の光景を信じる事ができずに、私は泣きじゃくりながらジルの体を揺すり続けていた。
するとベルが私の手を掴んでジルから離し、べっとりとついた血をなめとった。

「……っ」
「そんなのにいつまでも触ってんなよ」

そう言い放つと、ベルは私を抱きしめた。
ジルの体とは違い、温かく、ちゃんと心臓が動いている。

「しし、これで名前はオレのもの」

「ジルなんかに渡すわけねーじゃん」

「愛してるよ、オレだけの姫。」


ああ。

この世界に私とあなたの二人しかいなくて

この世界に光なんてなくて真っ暗だったなら

私は

ベルそっくりな死に顔も

山積みになった死体も

真っ赤な血の海も

あなたの狂った笑顔も

見なくてすんだのに。

そしたら

心からあなたを愛せたのに







あとがき

暗いわぁ…←


ベルには狂愛があってるかな、なんて((

あはは…

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