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FinalFantasyT
34.試練の城―記憶の正体―
バハムートに会った光の一行は、ジョブチェンジの為試練の城というところに放り出されています……


というか、窓から投げ出されました。
くそ生意気な子竜たちにね(怒)


『ま、まさかこんなところで「窓からこんにちは」をやることになるなんて…(-_-;)』


「こ、腰打った……」


「いたたたた……」


「……バサッ(マントをはたく音)」


「すまない……。あいつら、やんちゃ者なんだよ」


『むしろやんちゃ者ですんだらすごいけどな…』


なんたって…ここ三階ですからね……
下手したら死ぬよ?落ちてさ…

何か…確実に殺す気だったよね…絶対…


『それにしても、目的の物ってどこに?』


「あぁ…、それならここから直ぐだから…」


おー!流石は、ヤヌス!!スムーズに進んでいきますな…


「確かここに………あった!!!」


取り出したのは、手のひらサイズの赤い水晶…
まるで、某魔法学校の賢者の石みたいにキラキラ輝いている…………。

とてつもなく…綺麗です。


『…………。』


目的のアイテムを渡してもらい、じっと見つめていると……ヤヌスが不思議そうな声をあげた。


「おかしいな……。こんなの入っていたか?」


そこに入っていたのは、やや青みがかった透明な石…………。


『っ!!』


何故か、それを見た瞬間………


心臓が急速に音を立て始める……。


「優羅っ!?」


急に胸を押さえてうずくまる優羅にウォーリアは駆け寄った。


苦しい…。


苦しい……。


私は………何を………


拒絶しているんだろう………?


『なんっ…で?っ!!うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!』


「優羅っ!!!」


何?


何なんだ!!


記憶が…。


流れ込んで……。


嫌だっ……。


頭がっ!!


コワレル……。


大量の記憶が感情が流れ込み。
優羅は、オーバーヒートを起こしているような状態になっていた。


『うぁ………ぁ………ぁ………』


記憶によるクラッシュで倒れたからだをウォーリアは支えるが、優羅は只呻き声をあげているだけ……


「くっ、一体どうなって……」


「と、とりあえず……爺の元に!!」


「ここ、テレポ使える?」


「ああ、大丈夫だ!!」


「ウォーリア!!優羅のことちゃんと掴んでてね!!」


「分かっている!!」


「いくよ!『テレポ』ッ!!!」










『…………。』


また、このセカイに来た……


私は地面かどうかも分からない場所にへたり込んで一人の少女を見上げている…。


シロイ……セカイ……


ココハ……


ワタシノ……


ウマレタ……バショ……


ココデ……ウマレテ……オトウサンニアッタ…


ミンナヤサシクシテクレテ……
ワタシハ…シアワセダッタ………


アナタハ……シアワセ?


『…………しあ…わ……せ…』


つきん…とした痛みとともに見えてくるのは蒼い炎に包まれた人が住むであろう場所…

木々の……人の焼ける匂い……

苦しそうにうめく声……

炎の熱さ………………

それをただただ呆然と見つめる………

“自分自身”


光の無い虚ろな目を
光をまとったもう一人の自分が見つめる


『分からない……私は……幸せなんだろうか…』


ウォーリアがいて…リースがいて…ヤヌスがいて…サルテがいて…


皆が居る世界は大好きだ…。


『みんなを大好きなのと……幸せって…おんなじ?』


あぁ……何を聞いているんだか…。


返すはずもないのに……。


「ソレガ……シアワセッテコトダトオモウヨ…?」


首をかしげて、片言で答えた少女は……私の手を取る………。


「さぁ……立って?貴女を待っている人たちはたくさん居るの……」


急に姿を変えた光の少女は、もう一人の私になった


髪の長い、変わった服装をした私………。


これはきっと『Ω』の未来の姿……。


閉ざされた…未来のひとつ……。


「貴女はあなた、私はわたし……でも、貴女はわたしで、私はあなたなの……」


おんなじだけど……おんなじじゃない


それが……私たち。


何故か、心の中にあった不安が一つ……また一つと消えていく……。


『…………ぁ……』


「……自分を信じて…いいんだよ?」


例え記憶が貴女を苦しめても、私が……ウォーリアたちが……側に居るから…。


「大丈夫!大丈夫!何とかなるよっ!」


そう言って明るく笑う彼女に、優羅は微笑んだ。


『……ありがとう……Ω……』


「えへっ(σ*´∀`)どういたしまして♪」


戻ろう……皆の元へ………


ウォーリアの……元へ……





『っ………ん……?』


目が覚めると、蝋燭の灯りが目に入る……。

少しだけ…体が重いが、とりあえず起きることはできそうだ。

周りは、複数のベッドが置いてあるくらいで何もない…。

寂しい場所だなーと思っていると、不意に足音が聞こえてきた。


「優羅っ!!」


現れたのはウォーリア……。
ウォーリアは私が目覚めたことを知ると足早に私の元に歩いてくる…。


『ウォーリア……』


『心配かけてごめん』という前に、私のこめかみに寄せられた拳……


「君は一体何度言えば我々に心配かけずにすむんだっ……」


『い゛っだだだだ!!痛い痛い痛い痛い痛い!!ウォーリアっ!!あたまあたまっ!!』


勿論されているのは<こめかみグリグリの刑>
これじみに痛い…………。


そしてウォーリア……。


キャラ壊れてるよー( ;∀;)


『あ、頭ぁ……』


脳内細胞……これで何千死んだかな…(泣)


「優羅!!目が覚めたのね!?」


「良かった……。優羅の目が覚めて……」


「っ…ゆうらぁ…!!」


『皆っ……ごめんな……私が…ふがいないから…』


「っ!そんなこと無い!」


私が謝ると…何故か、サルテはそれを否定した。


「優羅………貴女、一ヶ月も眠ったままだったのよ?」


『っ!!!』


い、一ヶ月!!?


『う、うそ…だ……』


「嘘ではない…、だが、それはいいんだ…それよりも…体は大丈夫なのか?」


「そうよ!……あのあと、体にアザみたいのはできるし…吐血するし……、もしかしたら死んじゃうんじゃないかって………っ」


ウォーリアは勿論、リースやサルテ、ヤヌスもひどく心配そうな顔をしている……。


……知らない間に、皆にとんでもないほど心配をかけてしまっていた…。


『まだ、大丈夫とは……言えないけど。何とか大丈夫かな…』


記憶の整理もあるし……暫くは戦線離脱かぁ…


「大丈夫なのか大丈夫じゃ無いのかわかんねえな」


『ほんっとごめん!!』


「謝りすぎだよ……ι」


『でも…………』


迷惑かけたのは……事実だし…


それにしても、あれは一体何だったんだろう……
彼女は多分……もう一人の私か何かだったんだろうけど。

……サルテに聞けば…分かるかな。


『ごめんサルテ…聞きたいことがあるんだ』


「どうかしたの?」


最後にいた時と変わらない笑顔で返すサルテ……
少し背が高くなったかもしれない。


『“Ω”について、教えて欲しいんだ』


「っ!」


驚きすぎなくらいに驚いているサルテに優羅は苦笑いをしながら口を開く。


『知らなきゃいけないんだ。この世界を知るために
過去の自分を知るために
そして何より………
今の自分を探すために………ね』


そう、優羅にとってこの旅はただ世界を救うだけの旅ではなくなった……

自分を知るための……
壮大な自分探しの旅となったのだった……。

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