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FinalFantasyT
25.違和感…


『………ん?』


次の日の朝…鳥の鳴く声で目の覚めた優羅はまだ思考の回らない頭で昨日あったことを思い出そうとした。


昨日は色々とあった為……ウォーリアにもたれ掛かったまま寝てしまったらしい。


しかし、隣にウォーリアの姿はなかった。


 そういえば…昨日は変な夢……見なかったな…


そう。最近は眠る度に出てきたあの夢を昨日は一度も見ていなかった…


あの夢を見るたびにどうしょうもない気持ちになるのに。あまりにも悲しくて、逃げたしたくなってしまうのに……。


今はあの夢を見なかったことが逆におかしく感じてしまっていた…


『夢に慣れたんかな……まさかなぁ…』


何故だろう……


なんなのかまでは分からない。


でも、あの夢を見るたび…自分の心が変わっていく気がする………


 あの母さんと同じ声が言っていた辛いことって……これ?


『……………………。』


ガチャ…


「目が覚めたのか…優羅」


『ウォーリア……』


扉の方を見ると、朝食を持ってきていたウォーリアと目があった。


「朝食を持ってきた。食欲はあるか?」


『う…ん…』


 あぁ、まずいな…思考がうまく働かない…頭がぐるぐるする……………………


ぼうっとしている優羅に、ウォーリアは体調が悪いと判断したのか近づいて様子を見ている…


「優羅?」


『えっ、あ………』


顔をあげるとウォーリアの額が自分の額に当てられる…


 えええええぇ!!ちょっと待った!!ウォーリアの顔近っ!!!これ絶対フリーズする………………
……あ、れ…?


 何も………感じない…?


 何で?何時もは恥ずかしくて顔も上手く合わせられないくらいなのに……。


 何も………感じていない……?


『ウォーリア…』


「なんだ?優羅」


 あぁ、きっと……朝だから頭が回ってないんだ…そうだよ。きっとそうだ…


『いや、何でもない……早く。朝食、食べようか』


「?…あぁそうだな…」


何でもないようには見えないが、今それを聞いても答えないだろうと考えたウォーリアは朝食を取り始めた。


 どうか……この異変がすぐに収まってくれますように……


優羅は心のなかで、そう願った………










それから2日後……マリリスを倒したリースたちを迎えにグルグ火山に向かった。


『リース!おーい!』


優羅は火山の入り口から出てきたリースたちに手をふる…


それに気づいたリースは同じように手を振り、こちら側に聞こえるように大声を出す。


「優羅!私たちマリリス倒したよー」


「そんなに強くなかった〜」


「……………」


嬉しそうにそう語るリースたちに「よかったな!」などと声をかけていると、いささか青い顔をしたヤヌスの肩を叩くウォーリアの姿が見えた…


『あー、ヤヌスのやつ…マリリスの攻撃で盾にされたな…?』


「よく分かったわね!?」


 あぁうん。分かるよ…君らなら絶対やると思ってた……。


驚いた様子のリースたちをよそに、優羅は「ヤヌスドンマイ…」と小さく呟いたのだった…








場所はクレセントレイクに戻る。


『このまま船の旅っていうのも悪くはないけど…』


やっぱりなんだかんだ言って他の移動手段は欲しいところだ。


「それなら飛空挺を探したらどうだ?」


「飛空挺…?」


「聞いたことあるよ!確か…ルフェインで作られていた空飛ぶ船でしょ?」


「サルテ、そんなものがあるの?」


『飛空挺は何処にあるんだ?』


飛空挺をてにいれるには、まず氷の山に向かわなければならないけど………


「それなら氷の山に行けばいい。彼処に確か飛空挺を起動させる飛空石があった筈だ…」


ヤヌスはそれはもう当たり前のように話始める。


何故ヤヌスがこれほどまで知っているのか……


もしかしたらヤヌスだけではないのかもしれないと思ったが、この町でそれらしい話を聞いた覚えはなかった……。


『ヤヌスって案外博識だな』


「む、昔ガキの頃に商人から買った本にそう言うことが書かれた本があってさ……それで…な」


「そうか、しかし不思議な事もあるものなのだな」


「そうだね…でも、これでまた先に進めるよ」


「それじゃあ、次は氷の山ね…」


『防寒具は忘れずにな』


その言葉に他の四人は一斉に振り向く。


『な、何だよ…』


その動作にたじろいた優羅は一歩下がる。


「優羅?君はいかないのか?」


最初に言ったのはウォーリアだった。


『あーいや…行けないこともないんだけど…』


「何かあった?体調悪いとか?」


その言葉にウォーリアは目線を優羅の左手に移した。


もう元に戻った彼女の手はいつも通り指ぬきのグローブをはめている。


しかし彼女は頭をふってウォーリアの心配が杞憂であることを伝えた。


『何かさ……嫌な、嫌な予感がするんだ』


心の底で、そこに行きたくないと…


そう言った優羅の顔は、今まで見たことがない不安な顔をしていた。


「でも、行くしかないよ……。頑張っていこう?」


『………。そう、そうだな!逃げてちゃ…いけないよな…』


「優羅?」


ウォーリアはその時言った優羅の言葉に違和感を感じた……


 逃げる?………何から…?


しかしその疑問は打ち明けることはされず……光の一行は氷の山へと向かうのだった……。






続く……












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あきゅろす。
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