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FinalFantasyT
18.揺るぎない想い


 こんなに誰かを想ったことなど無かった。


 ………彼女を、優羅を知るまでは。






優羅がメルモンドの宿に運び込まれて3日…………………


彼女は、一向に目覚める気配がない。


医者に見てもらったが、魔力の使いすぎによる疲労が原因……と言っていた。


……しかし、幾らなんでも3日も経って目覚めないのは何か別の原因があるのではないかと感じてしまう。


「優羅…………………」


呼び掛けても、答えることはない。
当たり前だ。彼女は今、眠っているのだから…………………


「優羅」


それでも、名を呼ぶことを止められなかった。呼び続ければ、目覚めてくれるのではないかと思った。


…………………浅はかな願いだが。


『………リア…………………』


「っ!優羅?!」


目覚めたのかと思って顔をあげたが、優羅は相変わらず。規則正しい寝息をたてている。


「…………………寝言、か」


 それでも、私の名を呼んでくれたのか……


本来名の無い自分の事を、彼女は嬉しそうにウォーリアと呼んだ。

戦士だから“ウォーリア”…………………


安直だと言えなくもないが、何時しかその名が自分の名になっていた。


嬉しかった。彼女に名を呼ばれるのが……


そんな風に思い始めると、何故かもっと彼女の事を知りたくなった。


最初はよく分からなかったこの気持ちも、今ではハッキリ分かる。


……自分は、優羅のことが好きなのだと。

いや、きっと会う前から好きだったのかもしれない………おかしな話だが。

最初にあったときから、はじめてあった気がしなかったのだ。

ない記憶のなかに彼女が居たのではないだろうか…

この気持ちを素直に伝えることは出来ないのだろうか………


そんなことを思えば思うほどより彼女の存在は大きくなっていった。


「優羅。私はお前に何か、してやれないのだろうか……」


優羅の手を握って、只彼女の目覚めを待つことしか出来ないのがもどかしい。


ぎぃ……


「ウォーリア……優羅の容態は?」


「まだ、目覚める気配がない」


「………そう、ウォーリア?貴方も少し休んだ方がいいわ。このままじゃ貴方も倒れてしまうもの………」


「そうはいかない。………いや、まだ休みたくないのだ」


「やっぱり……心配だよね」


そう言うリースも殆んど休んでいないのだろう……
目に隈が出来ているのが何よりの証拠だった。


「君も休んだ方が良い………」


「うん。分かってる、分かってるんだけどね…………………」


リースはそう言うと悔しそうに顔を歪めた。


「もし、もっと早く気付いていたらって思うと…………………悔しくて」


「それは私も同じだ。………とても、悔しい。こんなに近くにいても、何もしてあげられない………」


彼女はいつ目覚めるのだろう。


もし目覚めなかったら…………………


そんな思いが募って、どうしようもない不安にかられる。


早く声が聞きたい。あの黒曜石の瞳を向けてほしい。


伝えたい。この想いを…………………


「優羅…早く戻ってきてくれ…」







それから、もう3日経った時…………………


睡魔に勝てず、眠ってしまった自分の耳に彼女の声が聞こえた気がした…………………


『大好きだよ。ウォーリア……』


勘違いかもしれない…………………。


それでも、目を開かずにはいられなかった。


「…………………優羅?」


声をかけるが、相変わらず答えは来ない……


まだ、目覚めないのかと思ったが直ぐにその考えは打ち消された。


『…………………ん、ウォーリア……?おはよぅ』


「っ!優羅っ」


『わっ?!どうしたんだよ?ホントに』


「…………………心配、したのだぞ。馬鹿者…」


『ごめんね。ウォーリア……。ありがとう』


「…………………っ」


言葉よりも先に行動してしまい。彼女を強く抱き締めてしまった。


『はは…………………苦しいよ』


「すまない。だが、もう少し………」


 もう少しだけ、この暖かさを感じさせてほしい…………………


「優羅………」


『ん?なんだ?ウォーリア』


「愛してる…………………君のことが、好きだ」


『っ!』


いきなり硬直した優羅は少し自分を押し戻しながら腕の中から逃れようとしていた。


「優羅………嫌だったか?」


『…………………バカ。それは、反則だ///』


顔を真っ赤にしてはいるが、嫌なわけではないらしい。


「……それは、OKととって良いのだな?」


『ああああ、当たり前だ。バカ………』


そう言うと優羅は自分の胸に押し当てるようにして顔を隠した。


 今日はいろんな意味で一生忘れられないかもしれない…………………


そんなことを思いながら、私は優羅を抱き締め続けた…………………


愛しい君に、幸あらんことを…………………



続く…………………

______
あとがき

…………………内容はまぁ、見ての通りです。


今回はウォーリア視点で書いてみました。


やっと想いを打ち明けたな。と思ってます。


まぁもうちょっと遅いはずだったのですが、ストーリーの都合上云々かんぬんで今になりました。

でもあんまりラブいシーンはないと思います。はい(;・∀・)








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