[携帯モード] [URL送信]

FinalFantasyT
13.メルモンドの町にて―秘密―


『こりゃひどいな。ボロボロじゃんか』


運河を抜け、メルモンドの町についた一行はそのあまりの惨状に唖然とするしかなかった。


建物は崩れ、中からは死人や怪我人が運び出されている。
あまりに痛々しいその状況に、一行は言葉を紡ぐより先に行動していた。


リースは怪我人の手当て、ウォーリアとヤヌスは怪我人の救助。
優羅とサルテは情報収集にまわり、それぞれが最善を尽くそうとした。


町の人たちを助け終わる頃には、日は既に水平線の彼方に沈んでいた。


水平線からぼんやり見える夕日の光も直消えるだろう…………………。


何とか一日で救助は終わらせたがこれから看護や手当てがある。
ギリギリ生きているような人も多くいた。


死者は町の人たちの3分の1…………………
それでも町の人は助かった方だと言った。


町の人はお礼にと宿を暫くの間タダで使わせてくれるようで、これから戦いに行く光の一行にとっては有り難いものだった。


 タダはいい。フリオニールじゃ無いけどさ……。


優羅はそう思いながら、思い空気が漂う救護室(仮)に向かっていた。


恐らくそこではリースが休む間も惜しんで怪我人の手当てに勤しんでいるだろう。


『リース』


「あ……優羅」


リースは本当に休まず働いていたようだ。
額には汗が浮かび、顔色は良くなかった。


『大丈夫か?みんなが心配してたぞ。勿論……私もな』


「あ、ごめんなさい。もう少しかかるから遅くなるって伝えておいて?」


そう言って道具を整理するリースに反応がわかっていたのか優羅は肩をすくめると。


『言うと思った。はい、これ』


脇に抱えていたバスケットをリースの隣に置いた。
そしてその隣に座ると、立ち上がろうとするリースを止める。


バスケットに気付いたのか、リースは「あぁ」と頷いて座り直した。


「これは?」


『軽めの夕食。宿のほうでキッチン貸して貰って作ってきたんだ。なにか食べとかないと持たないから』


そう言って「食べなよ」と笑う優羅にリースは「ありがとう」と礼を言ってバスケットのふたを開ける。


「うわぁ美味しそ〜♪これ優羅が作ったの?」


バスケットの中にはサンドイッチなど色とりどりの食べ物が入っている。
見ただけでも食欲をそそりそうな物ばかりだった。


『料理は得意な方なんだ。昔妹と弟によく作ってたから……。頑張れば向こうの世界と同じやつが作れるかもしれないし』


「旅が終わったら作ってあげるよ」と言って笑う優羅にリースは笑って返すことしかできなかった。


旅が終わったら…………………


その言葉にリースは違和感を感じる。
本当に、旅が終わればもとの世界に戻るのだろうか…………………。
そんな不安がリースの中で渦巻いていた。


「ねぇ……優羅」


『ん〜?なふぃ?(何?)』


リースの呼び掛けにサンドイッチを頬張っていた優羅が食べながら答える。


「行儀悪いわよ……」と呆れたように呟いたリースはおもむろにこう問いかけた。


「優羅は………。もとの世界に戻りたいって思わないの?」


その問いかけに優羅は困ったような顔をした。答えずらいのだろう。


確かに、優羅は最初、どうやって帰るかに重点をおいていた。
しかし、彼らと共に旅をするにつれ彼等の旅を少しでも助けたい。と思うようになっていた。
確かに家族は心配だ。しかし……もしこのまま元の世界に戻れたとしても、きっと後悔するだろう。
だから……………………………………


『今のところはないなぁ〜。世界を救うことが最優先だから』


「そっか。凄いね…………………」


『……。何かあったのか?』


「私……ここの世界の人たち、知らないの…………………」


リースの反応に違和感を感じ、そう聞くと。リースは膝を抱え込む形で丸くなる。


声は……ひどく震えていた。


『…………………。』


「最初ね。コーネリアにとばされたとき…不思議なこともあるんだなって……そう、思ってたの」


『うん……』


「きっとプラボカに戻れば私が手伝っていたお医者様のおじさんにも会えるって思ってたっ……」


『うん……うん……』


「でも、でもっ!おじさんがいるはずの場所に行っても………居なかった!いなかったの………」


『そっか………』


リースは泣きじゃくりながらプラボカでの出来事を話す。
あのときは元気に話をしていたが。きっと辛かったのだろう………。


優羅は昔妹が泣いていたときにしていたように、背中をさすりポンポンと軽く叩く。


「わ、私っね。怖いのっ……これからの事が………みんなが怪我するの見たくない!」


『ゴメンね………リース』


 本当のこと………言えなくて。


『大丈夫だよ。私がいる………ウォーリアもヤヌスもサルテもいる。だから…………………頑張ろう?』


「ぐすっ。うん……」


コクコクと頷くリースによしよしと頭をなで、優羅は立ち上がった。


「優羅?」


少し驚いたリースは、優羅を見上げる。


優羅はニコッと笑うとこう言った。


『仕事。手伝うよ………その方が早く終わるだろ?』


「えぇ!」


リースも立ち上がると直ぐに仕事に戻る。


二人はその後朝日が上るまで怪我人の手当てに奔走した。





その後………ウォーリアの説教混じりのお小言を喰らったのは言うまでもない。


しかし…。ウォーリアの小言を喰らいながらも、優羅とリースはそれを明るくいなしていたそうな………



続く…………………



______
あとがき

うーむ。これはゲーム解説に基づいてるものなのですが。
主人公(プレイヤー)は平和な世界から呼ばれた人達なんだそうです。

と言うことでリースはプラボカの医者の家でお手伝いをしていたけど。飛ばされた世界ではその医者の家はなく、海賊が暴れまわっていた。ということにしました。

恐らくルフェインに住んでいるサルテも同じでしょう。
ヤヌスは………。彼は彼で訳ありのようなのでそこら辺をうまく書ければと………。


後注意!多分リッチ倒しにいくまでに恐らく五話はかかるかと………(多っ!)

すいません。頑張ってつじつま会うように書いていきます。

それではっ☆⌒(*^∇゜)v







[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!