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FinalFantasyW
3.カイポへ…………………


セシルと再会したアルティスはセシルから一通りの事を聞き、カイポへ向かうことを勧めた。


『とにかく。その子を保護してもらえる所に行かないといけませんね』


そう言って彼は少女見る。


少女はまだ目覚める気配はない。
おそらく、先程のタイタン召喚でだいぶ体力を削ったのだろう。


そうしていると、セシルが話題をカインに変えた。


「アルティス…………カインのことなんだけど…」


そう話すセシルの顔はつらそうだ。
きっとセシルのことだから見失ったことに責任を感じているのかもしれない。


『大丈夫ですよ。彼はこんなことで死ぬような奴じゃありません』


アルティスはそう言って薄く笑った。
彼を信じている。
だからこそ、心配など彼にとっては無意味だった。


「すまない…」


『謝ってないで行きますよ?戦闘は僕が、君はリディアをお願いします』


「あぁ。分かった」


セシルはアルティスの隣に立つと呟くように「ありがとう…」と言う…………………


『礼を言われるほどでもありませんよ…』


そう言うと、アルティスはカイポと反対の方向へ歩き出す。


『何やってるんです?早く来てください』


「そっちはカイポと反対じゃ…………………」


アルティスの行動に怪訝な顔をするセシルにアルティスは少しバカにしたように笑うと飛竜を指して言った。


『僕がわざわざ歩いてカイポに行くとでも?』


こういうときのための飛竜なのだから…。


カイポ―


「ど、どうぞご自由にお使いください」


「ありがとうございます」


『…………………。』


カイポに着いたアルティスとセシルはリディアを休ませるため、宿屋に来ていた。


宿の主に礼を言うセシルの横で、アルティスは宿の主に疑惑にも似た視線を向けている。


「お〜い…アルティス?…顔怖いよ?」


『………ん?あ、スミマセン…』


セシルの顔を見ると、兜で見えなくとも分かるほど震えている…


(……はぁ…アルティスの睨み顔ってホントに怖いんだよね…(;・∀・))


そう思いながら、セシルはリディアを寝かせる。


少しすると、リディアは目を覚ましたらしく、かけ布の中から顔を出していた。


しかし、リディアは警戒しているのかセシルのことを睨んでいる。


いや、警戒して………というより完全に敵対心むき出しだ。


『セシル、君なにやったんです?こんないたいけな少女に………』


少し睨みながらアルティスが鎧をコツンと叩くとセシルはうつ向いて黙り込んでしまった………


『えっ!?ま、まさかほんとに襲ったんじゃないですよね?さ、さすがにそんなことしない人だと思っていたのですけど…』


アルティスは本気でドン引きしていた。


「ち、違うの………お兄ちゃん…」


流石に、セシルが可愛そうになったのかリディアが助け船を出した。


『違う、というのは?』


どうやら、リディアが襲われたわけではないとわかりホッとするアルティスはリディアの言葉を聞き返した。


しかしリディアはそのまま黙り込んでしまう………
アルティスの腰巻きをつかむ手はカタカタと震えていた。


「僕が…話すよ………」


……………


『そう、だったんですか…』


セシルは全て話終えると、隣のベットに腰かける。


「僕が…もっとちゃんとしていれば…」


『この件については、誰も君を責めることはできないでしょうね………まぁ…』


アルティスは一呼吸置くとハッキリ言った。


『ボムの指輪が渡された時点で気付いておくべきだったと思いますが………』


「うっ…」


『僕だったら気づいた時点でミストに行ったふりをしますけどね…セシルはバロン王のことを信頼していますし気づいてすらいなかったんでしょ?』


「バ、バロン王はそんなことをしない人だと…」


『人を信じることは確かに大事かもしれませんが、時には人を疑うことも大事です』


「昔、カインにも同じことを言われたよ…」


セシルはそう言ってフッと笑った。
カインとは違う優しい笑顔………


『君は本当に暗黒騎士には向いてませんね…』


アルティスはため息をつきながらも何故か心の底ではホッとしていた…………


『セシルが昔のセシルのままでよかったです…』


「え?」


アルティスはそう言って部屋の外に出る…


『あとは部外者は外にいますね』


そう言って………


キィィ…パタン


アルティスが居なくなると部屋は静寂に包まれる………


「君は…アルティスの事をお兄ちゃんと言っていたけど…」


静寂に耐えきれなくなったセシルが先に口を開いた。話題はアルティスについてのこと…


「お兄ちゃんはお兄ちゃん…ママと一緒に幻獣について教えてくれてたの…」


「そうだったのか…実は彼がバロンから居なくなってその後の事は誰も知らなくてね…」


ずっと探していたんだ…とセシルが言うとリディアは首をかしげた。


「お兄ちゃん…バロンの人だったの?」


「ああ、……でも、君のその様子じゃあアルティスは何も言ってないんだね…」


その言葉にリディアはこくんと頷いた。


「でも、兄弟がいるとか優しいともだちがいたって言ってた………後、苛めがいがあるともだちもいたって…」


リディアの言葉にセシルは苦笑した。
苛めがいがある友だちとは恐らくカインの事だろう


「そうか、アルティスも変わってなかったんだな…」


懐かしそうに彼が出ていった扉を見つめるセシルにリディアはおずおずと近付く……


「優しいともだちって…きっとお兄ちゃんのことね?お話しして分かった…」


「……ありがとう…君…えっと」


「リディア…わたしはリディア」


リディアはにこにこと柔らかく笑っている。


「ありがとう…リディア…」


ミストで起こした罪は…消えない。
でも、この子だけは…守っていこう。
そう決意したセシルであった…


『………さてと、仲直りもすんだことですし…さっさと片付けますか』


「誰を片付けるだと…」


『あなた方のことですよ?』


アルティスは双剣を手に持ち、笑みを浮かべた。


『安心してください…悲鳴をあげる間もなく…消して差し上げましょう…』


そうして、セシルとリディアを狙って奇襲をかけようとしていたバロンの追っ手はアルティスの言葉通りの死を迎えたのだった………


『二人とも、居ますか?』


「あ、アルティス……今リディア寝たところだから…」


部屋に戻るとセシルは兜を脱いでいて、口に指を宛がい静かに…と合図する。


『おっと…すみません』


アルティスはこくりと頷きセシルのベットまで静かに歩く。


『どうです?仲直りも出来ましたか?』


「仲直り………と言うか取り合えず信じてもらえた…というところかな?」


『そうですか…』


まぁ…よかったじゃないですか。と言うとセシルはそうだねと軽く笑った。


「夜は長い。君が旅で知ったこと…聞かせてくれると嬉しいな…」


『良いですよ…長くなりますけどね』


そうして、セシルとアルティスは朝まで旅の話や昔の話に花を咲かせるのだった。






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あきゅろす。
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